著者
横井 博一 吉野 慶一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.698-708, 1993-03-25

ニューラルコンピュータのハードウェア化における問題点の一つは,配線が複雑になるこである.筆者の1人が提案したFolthretは,神経細胞の離散時間学習しきい素子モデルをフーリエ級数信号により実現したニューラルコンピュータ用基本素子で,配線の複雑化の問題をかなり解決できる.本論文は,このFolthretの学習能力を調べることを目的としている.そのためまず,Folthretをアナログ回路とディジタル回路両方が混在した形で電子回路化した.その結果,基板サイズが15cm×15cm,ICの数が26個の回路規模となった.基板面積の半分は結合荷重用メモリ部が占めた.次に,電子回路化したFolthretを用いて,10個の数字および26個の英文字のパターン認識に関する学習実験を行った.これと同時に,離散時間-離散情報学習しきい素子による計算機シミュレーションも行った.その結果,電子回路化したFolthretは,離散時間-離散情報学習しきい素子と同様,実験で用いたどのパターンの認識も学習できることが示された.また,学習完了までの学習サイクル数と出力を調べたところ,離散時間-離散情報学習しきい素子に大体近い動作をしていることが確認できた.

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