著者
東海林 健二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1753-1760, 1994-09-25
被引用文献数
10

2値画像の回転や拡大縮小といったアフィン変換のアルゴリズムとして,2値画像をランの形式で表現し,斜交軸変換と転置を組み合わせて行う方法が知られている.この従来手法は,ラン形式を用いるため,斜交軸変換は簡単なアルゴリズムで高速に実行可能であるが,転置のアルゴリズムは複雑で比較的多くの実行時間を要していた.本論文では,ランで表現された画像の転置,すなわち縦と横を入れ替える操作を効率良く行う手法およびこの転置手法を用いた画像の回転,拡大,縮小を含むアフィン変換の方法を提案する.本手法で採用したランデータの表現方法は,pxy表と呼ばれる形式で,一次元配列に黒ラン,白ランの開始座標を交互に格納するという単純な方法である.実験により従来手法と提案手法の時間コストの比較を行った結果,従来手法でのアフィン変換は,ラン当りの実行時間が黒ラン長に従い増加するが,一方,提案手法では.ラン当りの実行時間はラン長によらず一定であった.すなわち,提案手法を用いると,2値画像のアフィン変換が,およそラン数にだけ比例する時間で行えることがわかった.

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