著者
濱口 航介 岡田 真人 山名 美智子 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.153, pp.19-24, 2003-06-20

神経細胞集団のスパイク同期による情報表現仮説が注目を集めるなか,同期発火が連鎖して伝搬するSynfire Chainと呼ばれるモデルが提案されている.このモデルでは神経結合の一様性を仮定する事で,解析的な取扱いが容易になっている.しかし大脳皮質においては局所的な相互作用が存在し,近距離の興奮性,遠距離での抑制性の結合からなる.Mexican Hat型と呼ばれる結合が確認されている.そこで我々はMcCulloch-Pitts型ニューロンモデルで構成された神経層の間の結合をメキシカンハット型の関数で与え,各層を伝搬する同期発火の発展を調べた.この系は発火パターンのフーリエ0次モードと2次モードの強度の発展方程式を用いて統計的に記述される.この系には非発火状態以外に,層状回路を伝播する孤立局在興奮と一様興奮の2つのノントリビアルな安定状態が存在することがわかった.さらに,我々は孤立局在興奮と一様興奮の共存相を発見した.

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