著者
加藤 正美 臼井 憲義 田坂 修二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.749-759, 1997-09-25
被引用文献数
13

本研究は, PHSの二つの通信チャネルを使用し, 蓄積されたH.263圧縮ビデオ情報をARQで, 蓄積されたADPCM音声情報を無手順で伝送しながら再生する場合を考える. このとき, H.263の符号発生量とPHSの伝送容量がほほ等しいため, 再送による遅延はビデオのメディア内同期を乱す. 特に, 蓄積されたビデオの伝送では, 通信状態に応じた符号発生量の制御が難しく, メディア内同期をいかに制御するかが課題となる. 更に, 別の通信チャネルで同時に音声も伝送する場合, ビデオのメディア内同期の乱れは, 音声とビデオのメディア間同期の乱れとしても問題になる. そこで本研究は, ビデオや音声のメディア内同期や両者のメディア間同期を維持するために, 送信側においてBブロック廃棄制御方式を提案する. 更に, 受信側において出力開始遅延制御を適用すると共に, スライド制御方式を提案する. そして, ランダム誤りとバースト誤りの各環境下で, 実際のビデオ情報と音声情報を使用したシミュレーションを行い, メディア同期の性能評価, および主観評価により本提案方式の有効性を示す.

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