著者
和田 泉 村山 伸樹 音成 龍司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.501, pp.31-36, 1996-01-27
被引用文献数
2

誘発電位の遅期成分(P300)は, 被験者の心理状態すなわち呈示された刺激への関心や評価などにより振幅が変化することが知られている. これを事象関連電位という. 今回の実験では, まず2種類のランドルト環のうち一つをまれに呈示し(Target), もう一つを頻繁に呈示した(Non-Target). Target刺激時のP300の振幅はNon-Target刺激時よりも有意(P<0.01)に大きかった. また, この振幅はTarget刺激の呈示頻度の増加に伴い減少する傾向にあることがわかった. 次に, 1人は面識のある人物, 残りの9人は面識のない人物の顔写真をランダムに被験者に呈示し, この時のP300の変化を検討した. その結果, 面識のある顔写真呈示時に対するP300の振幅は, 面識のない顔写真呈示時に比べて有意(P<0.001)に大きかった. しかしながら, ランドルト環呈示課題のP300の振幅と比べると小さかった.

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