- 著者
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斎藤 治
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
- 巻号頁・発行日
- vol.98, no.381, pp.21-27, 1998-11-02
- 被引用文献数
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自閉症は、社会関係、コミュニケーションならびに言語の発達障害によって特徴付けられる。自閉症では死後脳所見およびMRI研究から小脳異常が繰り返し報告されてきた。最近われわれは方法的に周到に計画したMRI研究から、小脳虫部VI-VII小葉の形成不全と過形成を示す2つの亜群を自閉症患者に見出した。他方、機能的神経画像の新技術は、自閉症の注意や認知の障害に関わる神経機構の直接的な検討を可能としつつある。さらに、小脳がヒトの非運動性認知に関与している可能性を示す知見の増加は、大脳病理に制限されない、新たな'包括的神経心理学'の発展を促しているように思われる。