- 著者
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豊蔵 勇
岡田 篤正
- 出版者
- 一般社団法人日本応用地質学会
- 雑誌
- 応用地質 (ISSN:02867737)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.130-138, 1996-06-10
- 被引用文献数
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3
兵庫県南部地震と命名されたマグニチュード(以降Mと表す)7.2の都市直下型地震が、1995年1月17日未明の午前5時46分、阪神および淡路島地区を襲い、関東大震災以来の大震災をもたらした(表-1)。兵庫県南部地震は、淡路島北部に分布する野島断層およびその北東延長の活断層が再活動することによって発生したものである。このように、既存の活断層を震源とした直下型地震は、死者5,500名を上回る人的被害をもたらし、復興に要する費用は10兆円を越えると言われている。今回の地震が起きた時刻は、市民の生活がほとんど始まっていない早朝であった。このことは、もう少し遅い時刻で通勤電車、新幹線、高速道路をはじめとする大量輸送機能がフル稼働中であったならば、被害は別の形で大きくなっていた可能性が高く、社会に与えた影響は大きい。今回、活断層に関する解説を担当することとなった岡田は活断層の実態解明に長年携わった研究者として、また豊蔵は活断層調査を耐震設計のコンサルタント業務として携わってきた技術者として、まず活断層についてこれまで蓄積されてきた基本的な知識を整理し、活断層調査の持つ応用地質学的な意味や意義について述べ、さらに今後取り組むべき課題についても若干ふれる。