著者
瀬渡 賢
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会誌 (ISSN:00214787)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.575-578, 2003-10-05
被引用文献数
3

わが国において,抵抗スポット溶接は自動車ボディ,鉄道車両構体,家電製品等の接合技術として,第二次大戦後,広く実用化され今日に至っている.これまで,抵抗スポット溶接ガンとしては,圧縮エアーを駆動源としたエアーシリンダにより電極を加圧するエアー加圧式ガンが一般的であった.一方,生産現場ではより一層の生産性向上への要求に加えて,省エネ,環境対策への要求の高まりの中,1989年にヨーロッパで電動モータを駆動源とした電動加圧式ガンが発表され,脚光を浴びることとなった.わが国では,1995年に電動加圧式ガンが搭載されたロボットシステムが自動車ボディ生産ラインに導入されて以来,ACサーボモータ駆動による電動加圧式ガン(サーボガン)が急速に普及しつつある.これは,電動加圧式ガンがエアー加圧式ガンよりエネルギー効率が高く,省エネルギーに貢献できること,エアーの吸排気音や電極の打撃音の廃絶等により静粛性が向上すること,またロボットアームとの協調制御により打点効率が向上することなど,環境問題改善と生産性向上を一挙に実現できるツールであるからである.本稿では,ロボットシステムならびに自動溶接装置に電動加圧式ガンを適用した事例を紹介するとともに,電動加圧式ガンによる機能や特長についても解説する.

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