- 著者
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加藤 勉
- 出版者
- 東京昆蟲學會
- 雑誌
- 昆蟲 (ISSN:09155805)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.1, pp.29-38, 1968
1960∿1963年の3年余にわたり, 福岡市のマサキの生垣に発生したL. corniとC. japonicusを中心とするカイガラムシ類の消長とそれらを捕食するヒメアカホシテントウの活動状況についての調査を行なつた.その結果, この生垣においてはヒメアカホシテントウは秋から春にかけてはL. corniをはじめChr. bifasciculatus, U. euonymi, Pseudococcus sp.などを捕食し, 夏にはC. japonicusを捕食して年間を通して同一場所で活動することが明らかとなつた.また, polyphagousな天敵であるヒメアカホシテントウは時期的に巧みに適餌を転換して, 大発生したL. corniやC. japonicusの個体群密度の低下に大きな役割を果し, polyphagousな天敵の利点を最大に発揮してその有効性を実証した.なお, ヒメアカホシテントウの寄生蜂であるアシガルコバチは成育期間は前者より短いが発生時期が遅く, 夏期におけるヒメアカホシテントウの活動を阻害する大きな要因とはならなかつた.