- 著者
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長谷川 耕二郎
傍島 真人
- 出版者
- 日本熱帯農業学会
- 雑誌
- 熱帯農業 (ISSN:00215260)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.1, pp.14-20, 1992-03-01
- 被引用文献数
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カキ'西条', '伊豆'及び'松本早生富有'の若木をそれぞれ供試し, 亜主枝に針金の被覆線で結縛処理を行い, 結実と果実品質並びに花芽形成に及ぼす影響について調査した.なお, 結縛は外径2.0mmと2.6mmの針金の被覆線を用いて, 満開20日後に行った.1.夏枝発生の多かった'西条'及び'伊豆'では対照区の結実が少なかったが, 両品種とも結縛処理により, 夏枝の発生が抑制されるとともに, 結実が増加した.'松本早生富有'では夏枝発生が少なく, 対照区の結実が比較的良好であったが, 結縛処理により結実がさらに増加した.2.結縛処理により, '西条', '伊豆'及び'松本早生富有'3品種の果実が肥大し, また着色も増進した.2.0mm及び2.6mm結縛処理により'西条'の果重は対照区に比べて約1.2及び1.3倍, '伊豆'では約1.3及び1.3倍, '松本早生富有'では約1.4及び1.4倍, それぞれ増加した.結縛処理区の果実には種子が少なかった.3.結縛処理により, '松本早生富有'の発育枝の花芽数は増加した.2.0mm及び2.6mm結縛区のがく片形成期花芽数はそれぞれ対照区の約2.2及び2.6倍であった.'西条'の夏枝を発生した発育枝でも, その春枝部位の花芽数は結縛処理により増加し, 2.0mm及び2.6mm結縛区のがく片形成期花芽数はそれぞれ対照区の約1.7倍及び1.8倍であった.