- 著者
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砂川 和範
- 出版者
- 日本マネジメント学会
- 雑誌
- 日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
- 巻号頁・発行日
- no.43, pp.63-67, 2001-06-22
- 被引用文献数
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1
昨今、終身雇用制と結びついた企業内教育システムが変化を余儀なくされる状況にある。一方で国公立・私立を問わず大学(院)改革が進行しており、その一環をなすのがビジネススクール設立ブームである(とくに労働市場の流動性の高まりから起業というテーマが生涯教育の需要を喚起じている)。この経営教育に関連する両現象は、(1)企業内教育システムと学校教育システムの相互浸透(2)両者の新たな境界設定、以上二点に集約される問題を探索することを要求する。そこで本報告では、新たなシステムの設計に向け組織理論の知見を応用した基礎付けを試みる。まずH.A.サイモン以降の意思決定論(とくに情報処理モデル)以降の近代組織論の学説的展開を踏まえて問題を整理する。その延長線上に、とくに認知科学と学習理論の複合領域に位置する「正統的周辺参加」(Legitimate Peripheral Participation, LPP)モデルを取り上げ、それが経営教育の実践にむけて持ちうる可能性を見積もる。その結果、LPPモデルのいくつかの要因についての拡張が分析上必要であることを示す。