著者
佐々木 秀徳
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.52, pp.33-36, 2005-10-28

近年の組織論研究を一瞥すると、「ポストモダン」や「組織の非合理的側面」といったキーワードを拾うことができる。これらのキーワードを持つ諸理論は、経営学者および組織論者に対して極めて魅力的に映り、注目を浴びている。これらの理論は組織の合理的な側面に対する研究が主流であったことに対するアンチ・テーゼとして登場してきたものである(田尾、2003)。このような新たな試みに注目することは重要であるが、「目新しさ」「意外性」に目を奪われると、理論の本質を見失う可能性がある。そこで、かかる諸理論が理論として妥当であるか否かといったメタレベルでの考察および論及がなされていない現状において、本稿ではそれらのひとつであるWeick, K. E.の組織化理論が、学説研究というメタレベルにおいて妥当であるか否かを検討する。
著者
坪井 順一
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.41, pp.68-72, 2000-06-16

従来の経営学研究の1つの特徴は、経営する側にとって「売れる商品」=「よい商品」であり、そうした商品を作り出すことが「よい経営」であるという図式のもとに展開されていたように思われる。同様に、広告に関しても「効果のある広告」=「よい広告」という前提のもとで広告づくりがおこなわれている。本論では、消費者という視点のもとに、一方的に流される企業広告ではなく、消費者は広告に何を望み、どのような情報が知らされるべきかを考えていきたい。企業が情報公開をおこない、消費者が客観的に商品の判断を下し、選択権を得ることができるようになって、初めて消費者主体という言葉が生きてくるように思われる。
著者
河口 弘雄
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.59, pp.107-110, 2009-06-26

フラットで平等な組織を持つ非営利組織の経営管理を如何にすべきかに付き、体系的理論が論じ切れていない現状がある。それは広く研究されている営利組織の経営とは大きく異なる面が多く、この問題を独自に取上げるのが困難である、と云う状況がある。しかし経営学史を辿って行くと、非営利組織の経営管理に有力な理論を提供している先駆者がいる事に気付く。それが20世紀初頭に活躍した、NPOの実務家であると同時に企業のコンサルタントを勤めたメアリー・フォレットである。彼女の理論は広範に及ぶがその中でもリーダーの権限とは経営組織ではどの様にあるべきか、命令はどの様に発せられるべきか、第一線の組織人の同意と参加が経営の意思決定に如何に大切か、と云った点を経営の実務家から見て論じている。すなわちここでは難解な理論が展開されているのではなく、組織人が如何に職務に取り組めば良いのかが理解できる。権限と命令とはコインの裏と表との関係にあるが、フォレットの理論はフラットで平等な組織にこそふさわしく、上位者権限でなく共有的権限を有効と見る。同時に命令は否定され、同意が置き換わる。この様な要素が同意と参加のリーダーシップを形成しており、上下関係でなく如何に経営の状況を適切に理解しるか、によりリーダーが決められるとフォレットは見る。彼女はこれらの理論を企業に適用しようと、大西洋を行き来しコンサルタント活動に励んだ。しかし、フォレットの経営学者としてのルーツは20世紀始めにボストン郊外で20年間近く非営利活動に励んだ点にある、と見て不自然では無いであろう。この様な角度からフォレットの共有的命令とモチベーション重視理論を非営利組織に適用し、更なる発展に繋げて行けたらと希望したい。
著者
松村 洋平 永田 均 絹巻 康史 山邑 陽一 酒井 甫
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.55, pp.111-114, 2007-06-29

今日、ガバナンス問題、コンプライアンス問題、合併・買収問題など経営と法律がクロスオーバーする現象や事態が企業の周辺に頻繁に起こっている。従来、これらの問題について経営学の立場から、あるいは法学の立場からのみ、アプローチがなされてきた。実務界においても、経営法務や企業法務の出番は経営行動の事故処理・事後処理にあり、戦略的問題として、法学的見地からあらゆる事態を想定して先んじて手を打つ、といったように経営者の意思決定に法学的な要素を積極的に取り入れることは難しいかったように思える。また、研究や教育においても、経営学では法律の知識や経験を経営資源と考えることはせず、法学では意思決定の結果に対する事後処理となる紛争法務がクローズアップされる傾向にある。そして、なによりも経営学と法学には大きな溝がある。実務の世界で次から次へと発生する経営と法律がクロスオーバーする現象や事態について、経営学者と法学者が協力して、分析し、解釈し、理論構築にアプローチしていくことが求められるだろう。
著者
森下 正之
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.59, pp.95-98, 2009-06-26

文系の大学生・大学院生・社会人が経済や経営系の論文や書籍を読解力低下が観察される。原因の一つが小学校の作文の基礎的訓練に問題と推察。論文・作文の構成法として漢文由来の「起承転結」の基礎教育を受けた大学生・院生・社会人の「コピペ(データーや文章の切り張り)」横行で熟考忘れた社会が懸念される。明治維新に日本語の近代化に関係か。今注目の水村美苗氏の「現地語の日本語が英語という普遍語を介して国語に確立された」旨の理論を援用し、原因の説明が可能。日本語近代化の過程で英語の作文(composition)の主要な考え方が採りいれられず、経済・経営系論文を英語に翻訳の場合ハンディとなり、経済学・経営学での国際的業績評価が低くいのも原因と推察。解決法の一つとして中間言語的国語に基づき、論理的な国語で書くための読解力(reading for writing)の具体的改善指導法を提示。文系の大学生・院生・社会人に対して、一流の専門家が執筆した、最新の経済・経営系の新聞・雑誌等小論文を教材に使い、小テストと宿題の連動課題を与える。結果的に、短期のメモリーを長期メモリーに変換のプロセスで受講者が自発的に時間を掛け、熱中し、熟考する。特に、小論文の対象となる話題・テーマはリアルタイムで発生のインパクトのある事象を扱い、唯一絶対の正解は存在しない。社会的、経済的テーマの論文から書かれていない(隠された)問題を特定する演習は、複眼的思考を鍛えることを意図する。但し、課題は教員・講師の時間的負担が大きいが、実学である経済・経営系の小論文の書くために開発された読解力の向上方法の有用性をここに提示する。
著者
中村 久人
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.55, pp.87-90, 2007-06-29

民営化されたJR東日本の本業はあくまで旅客や貨物の運送業(売り上げで約7割)であるが、本報告では最近注目されるようになった同社の生活サービス事業、特に駅ナカ・駅ビル・ビジネスさらには街ナカ・ビジネスの展開とそれら事業展開の原動力になっているSuicaの導入および拡大に焦点を当てる。生活サービス事業でのSuicaホルダーの量的拡大は、鉄道事業のメインテナンスコストの低減に役立ち、また街ナカでの他社との提携ではハウスカードであるビューSuicaの普及が可能となり、モバイルSuicaによる外部ネットワークとの結合では、携帯電話での乗車券の予約・購入のほかインターネット上でのSuica決済が現実のものとなった。以上のように、Suica導入はJR東日本の企業競争力を著しく高める要因となっており、このような例は他国に類をみない「ビジネスとテクノロジーの共鳴」であり、日本発企業競争力の創成の格好のケースといえるであろう。
著者
海老澤 栄一
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.58, pp.1-4, 2008-10-31

職場環境や住環境、学習環境などが、今大きく揺れ動いている。行動のガイドラインやモデルは、そう簡単には見つかりそうもない。だからといって手をこまねいて、傍観者気取りにはなれない。1つのヒントは先人たちの叡智を探り、理論構築の仕組みをたどることによって、何らかの解決方法がみつかるかもしれない、ということである。その期待の根拠は、大恐慌やオイルショック、直近では食べ物の毒物混入、サブプライムローン、果てまた鳥インフルエンザなど、世間を混乱に陥れる"地球規模"の事件は、その大半が天罰ではなく、人為的に引き起こされた事件であるということである。であれば、人間が被害者であり同時に加害者であることが明らかとなる。たとえ"犯人捜し"が困難をきわめ、糸の絡まりを1つずつほぐしていく作業が想像を絶するものであっても、社会を構成するヒト一人ひとりが何らのかかわりをもちガイアの舞台で固有の役割を演ずることにより、暗闇の向こうに明かりを灯す-探すのではなく-可能性を探ることが本報告の狙いである。
著者
金子 正信
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.58, pp.39-42, 2008-10-31

熊谷屋は仙台駄菓子の老舗である。社長夫妻への取材や、創業300年を記念して編纂された「熊谷屋三百年史」を通じて、極めてニッチな市場で生き残ってきた熊谷屋の経営について考察した。従来の経営理論では、このような店はあまり重要視されることはなかったが、実は、大企業とは異なる興味深い経営における特徴が見られる。大企業は複数の戦略ドメインの中から自社の強みを生かせるドメインを選択し、競合に勝利して規模を拡大していく。それに対して熊谷屋の場合は、仙台駄菓子というニッチな市場とそれを支持する顧客に徹底的にこだわり、市場の灯を消さないという防衛的な姿勢で生き残ってきた。愚直なまでに商品と顧客に目が向いた究極のニッチ企業なのである。その経営の特徴を商品面と顧客面において見てみる。商品面においては、職人が駄菓子材料と時間をかけて関わりながら、「よい加減」を体得し、それが手作り技術として結実、確立する。そうした技術は口伝により、全人格的に継承されてきており、意図せずして他の追随を許さないニッチな市場を形成している。顧客面においては、仙台という地域の恩恵を受けながら、長い時間をかけて、仙台に暮す人々の思い出に深く浸透してきた。顧客に対する責任を全うするための適正規模を守りつつ、苦情に際しては直接対話により丁寧に対応している。その結果、仙台という地域に駄菓子にまつわる変わらぬ記憶が形成されている。熊谷屋の今後の課題としては、優れた職人の確保が挙げられる。最近の画一的な商業環境に飽き足らない若者を職人として採用すべきであろう。一方で、相次ぐ食品業界の不祥事はこの店にとって大きなフォローの風である。
著者
泉山 元
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.39, pp.81-82, 1999-06-25

現在の景気状況の中で、各業種とも業績が悪化している中で運輸業も大変苦しい状態にある。このような現況の中で運送事業だけにとらわれず新しいビジネスを積極的に取り入れようと三年前に社名を変更し三八五流通と改めた。特に最近では、中国との貿易事業に力を入れ新しい収入源として期待している。また今後、貨物の量の伸びを期待できない状況の中で業務効率の向上や経費削減を施し、経営を安定させる努力をしている。その中で一番力を入れているのは、各種の事故防止とロス管理である。事故防止とロス管理に努めることによって経費の削減、機会損失の防止につながり、顧客に対して会社の信頼が増し安定した貨物の量を見込めることができる。このような取り組みによって、益々競争が激化する運送業界の中で顧客のニーズに応え多角的な経営によって生き残りをかける。
著者
野田 勝利
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.56, pp.25-30, 2007-11-22

・家業の倒産経験後、再建し同族会社役員の一員として職域総合月賦販売業を経営してきましたが、多額な貸倒金に嫌気が差し、ピザ宅配に進出しました。・香川に出店後、独立。社員もろくにいない中、店舗出店を繰り返し数年後には10店舗。・飲食業界の常識も知らず、数々の困難に出会い、全てを社会や従業員のせいにしていた。・たまたま出会った同友会に入会し、自分の経営に対する考え方が間違っていたことに気付かされ、また会の役を引き受けていくことで、会員の世話と社員への関わりに気づかされ、社員への感謝の念が沸いてきました。・社員の出入りの激しさは変わらず。共同求人活動で4, 5年前から複数人数が取れる。・新卒を採用すると教育が必要となり、社員教育委員会に参加。また会社の将来を打ち出そうと、経営指針を毎年作成。その結果やっと社員が辞めない会社にもなりました。・我が社も高々15年しか経っていませんが、やっと自社に理念が少し浸透してきた。
著者
前田 勲 早坂 明彦
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.50, pp.37-40, 2004-10-08

男女雇用機会均等法が施行され, 法的には男女の雇用条件は同等と考えられるようになって入るが, 雇用管理上, 必ずしも同じ状況にはない。施行から18年が経過し, その後の雇用状況, 人事管理上での問題点等に関連した本研究の一部についての報告である。現在, いわゆる第1期生といわれる女性が多数働き続けており, その女性たちの能力, 地位等は確実に向上しているとはいえ, まだまだ男性中心の社会構造は活きているといわざるを得ない。明確に差別があるわけではないが, 女性労働者の中には少なからず「同じではない」とする意識が働いている人もおり, また, 「妊娠・出産」「育児」といった子育ての問題に関しては, 企業や自治体等の努力 (育児施設、制度充実等) は見られるものの, 育児休業の取得などでは圧倒的に女性が多く, 働く女性のキャリアにはマイナスの要因として取り扱われている実情にある。人事考課における男女間の格差をなくす方策について, 差別の生じにくい施策が求められている。
著者
柴田 幸穂
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.54, pp.73-76, 2006-10-27

中等教育における商業教育はビジネス教育へと呼称を変え,社会や経済の急速な変化に対応しようとしている。変革が求められる教育の現場で教師のモラールをいかに上げていくかは深刻な問題である。公立学校組織では改革の取り組みが続けられているが,その体系的研究はまだ不十分である。そこで,企業のマネジメント研究が学校組織にも応用できるかどうかは興味ある研究課題である。このような中で,発表者は管理職として勤務する商業高校において実践的問題解決の取り組みを行った。問題の構造化と分析にあたっては「統合的アプローチ」を参考にし,組織変革という現象を組織構成員の変革行動からとらえた。予備調査に基づいた業務強度分析や「分掌」再編による構造変革を通じた働きかけおよびFDによる直接的働きかけを行い,全体として組織の価値創造を図った。今回の報告では,取り組んだ一連の実践行動がどのように理論的に説明されるのかを考察する。
著者
草田 清章
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.53, pp.57-60, 2006

若者の職業能力蓄積不足・不安定就労の増大は、中・長期的な競争力の低下、社会保障システムの脆弱化など社会不安の増大につながる危険性がある。そこで本報告では、若者の自発的な離職行動を、キャリアの入り口における躓きとして環境要因および個人の内的要因から考察し、個人のチャレンジを支えるためのキャリア保険制度の創設について検討する。今後、組織内における個人の自律性が高まることに伴い人間行動のわずかな変容が、即、業績を左右する可能性がある。人材育成の課題は、単に成果主義を導入し賃金格差を拡大するという制度論の前に、組織と個人との関係に何を基礎とするのが最適かを、いま一度考えることにある。それは、個人の選択と責任を基礎としたチャレンジ・システムの設計とチャレンジを支えるためのセーフティネットの構築(キャリア保険制度の創設)にある。
著者
佐々木 利廣
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.63, pp.13-16, 2011-06-17

マルチステイクホルダーシステムは、既成の縦割組織の硬直性や閉鎖性から脱皮し、異質な他者との出会いと共同作業による自由で創造的発想を重視し、対等性を基盤にした合意形成のための意思決定への参画を重視するような仕組みとプロセスである。企業とNPOと行政の三者が、一方向的支援・批判・評価から双方向の創造的相互作用過程へと進化しながら主体の意識や戦略も進化していくような仕組みとプロセスをマルチステイクホルダーシステムと考えると、とりわけソーシャルビジネスの領域でマルチステイクホルダーシステムをどのようにデザインし運用するかが今後ますます重要になると思われる。報告では、主に新庄市のヨコタ東北を中心にした食品トレーリサイクルシステム、福島県いわき市のNPO法人ザ・ピープルを中心にした古着リサイクルシステム、神奈川県のNPO法人WE21ジャパンを中心にした古着リサイクルシステムをもとに、企業・NPO・行政の協働によるリサイクル事業をマルチステイクホルダーシステムの視点から分析する。
著者
藤沼 司
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.54, pp.37-40, 2006-10-27

今日の「知識社会」への端緒を切り開いたF.W.ティラーの科学的管理は、また同時に「組織(中心)社会」の端緒を切り開くものでもあった。科学的に正当化された専門的知識に基づく管理という着想を核心とする科学的管理の進展は、<管理=組織原理の官僚制化>をもたらした。これにより「命令の非人格化」(個人の機能化)が可能となったが、それが「再人格化」(個人の再主体化)と両立(機能化即再主体化)するには、経営哲学が必要であるとM.P.フォレットは指摘する。今日、仕事を通じた自己実現や目標管理、脱官僚制化を指向する分権組織など、一見すると機能化即再主体化が果たされつつあるように見える。本報告では、こうした事態をどのように把握しうるか、フォレット経営思想を手がかりとして考察する。
著者
砂川 匡
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.56, pp.55-58, 2007-11-22

手の持つ多様な表情を理解することが,私たちの仕事の第一歩でした。「Les Gants=レガン」,フランス語で"唯一の手袋,最も優れた手袋"意味する言葉。「クラウン手袋」として設立以来,常に時代の一歩先を行く手袋づくりに取り組んできた当社。昭和62年にCIを導入し,社名を「レガン」と改称。アンドレ・クレージュなど世界の有名デザイナーとライセンス契約を結び,スポーツ&ファッショングローブの企画デザインから製造販売まで,積極的な事業展開を行っています。現在,フィリピン,ベトナム,中国の工場を中心に質の高いクラフトマンシップにこだわった手袋を,製造しています。創造性,芸術性にあふれるレガン独特のフィルターを通したモノづくり。人の手の持つ表情を最大限に生かす"にんげん企業",それがレガンです。
著者
砂川 和範
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.43, pp.63-67, 2001-06-22
被引用文献数
1

昨今、終身雇用制と結びついた企業内教育システムが変化を余儀なくされる状況にある。一方で国公立・私立を問わず大学(院)改革が進行しており、その一環をなすのがビジネススクール設立ブームである(とくに労働市場の流動性の高まりから起業というテーマが生涯教育の需要を喚起じている)。この経営教育に関連する両現象は、(1)企業内教育システムと学校教育システムの相互浸透(2)両者の新たな境界設定、以上二点に集約される問題を探索することを要求する。そこで本報告では、新たなシステムの設計に向け組織理論の知見を応用した基礎付けを試みる。まずH.A.サイモン以降の意思決定論(とくに情報処理モデル)以降の近代組織論の学説的展開を踏まえて問題を整理する。その延長線上に、とくに認知科学と学習理論の複合領域に位置する「正統的周辺参加」(Legitimate Peripheral Participation, LPP)モデルを取り上げ、それが経営教育の実践にむけて持ちうる可能性を見積もる。その結果、LPPモデルのいくつかの要因についての拡張が分析上必要であることを示す。
著者
小林 勝
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.59, pp.91-94, 2009-06-26

英国産業同盟(CBI)が、英国の国際競争力確保のため高度のスキルを有する労働者を求め、キャリア・エデュケーション(教育)、ガイダンス(指導)、カウンセリング(助言)を11歳から16歳の全生徒に与えるよう提言した。この実現のため、教育と雇用をひとつの政府組織(DfEE)のもとに統合もした。わが国の総労働人口の減少と雇用市場におけるミスマッチは、日本の国際競争力を減少させている。文部科学省は、キャリア教育おいて望ましい職業観、勤労観を育む教育推進を提言している。大学・大学院は、教育機関として学生が労働市場に入る最終接続点として全ての雇用関連機関の「中心軸」として制度的に機能すべきである。このために、全ての学生のキャリア・エデュケーション、ガイダイダンス、カウンセリングへの「接触度」を高めなければならない。この接触は、教職員のかかわり行動(attending behavior)が基本である。現役大学入学者は、凡そ25歳まで2人に1人がキャリア挫折を経験している。本報告では、東洋大学第二経営学部演習履修生の学生時におけるキャリア・エデュケーション、ガイダンス、カウンセリングへの「接触度」を「成人キャリア成熟尺度(坂柳96)」使用し、調査及びヒアリングを実施した。その結果、卒業後のキャリア発達と学生時代の「接触度」の相関性が高い傾向が見られた。大学・大学院教職員による学生とのライブな「接触度」を高めるattending behaviorこそが、究極的にわが国の国際競争力を向上させることになる。
著者
谷井 良
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.62, pp.39-42, 2010-10-29

従来のイノベーション研究を見ると,イノベーションの企業内の過程にのみ注目している場合がほとんどである。だが,本来,イノベーションは広く社会に普及・浸透してこそはじめて成功といえる。そこで,本報告では,イノベーションにおける普及過程,すなわちイノベーションの企業外的過程の重要性に焦点をあて,企業がイノベーションによって文化を創る過程を明らかにすることを目的とする。本報告では,イノベーションの企業外的過程を顧客創造,市場創造,文化創造に分類する。しかし,文化を創造している企業がごく一部しか存在しないことを考えれば,文化創造には顧客創造や市場創造とは異なる普及メカニズムがあると推察される。そこには,従来の普及メカニズムとは異なる新たな普及メカニズムが存在していると考えられる。そこで,実際に文化を創造したと想定される事例研究(家庭用ゲーム,携帯電話,インスタントラーメン,ハイブリッドカー)を行った結果,文化を創造するためには創発現象,意図的波及効果,社会システムの自己組織化という3つの要素が深く関わっていることを抽出した。そして,この文化創造の要素である創発現象,意図的波及効果,社会システムの自己組織化には,社会システムの自己組織化に至るまでの創発現象と意図的波及効果のパターンに相違があり,そのパターンの相違により普及速度と戦略の達成度に大きな違いが見られる。本報告では,これら文化創造のパターンとそのパターンによる普及速度と戦略達成度との関係を明らかにすることを試みたい。