著者
二宮 和彦
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究技術計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.167-175, 1992-09-15
被引用文献数
10

先報のシュミレーション用モデルを適当な近似関係の導入により改変し、シュミレーション解析に便利な2組の関係式群を得た。その結果、まず主要な政策パラメターについて、各企業とも共通して目指すべき変動方向を示すことができた。次に税前利益は、政策ぱらめたー間に特定の関係条件が成立する場合に極大化することを示し、その条件を明らかにした。また限界利益と研究開発費の比率は、企業間の自由競争の結果次第に平準化し、製造業を通じて共通の特定値に収斂する可能性を示し、そこから研究開発費の適値は限界利益の12%程度であると推定した。次に日本の大部分の企業では経営合理化の努力の結果、税前利益はほぼ極大化していると推定し、そこから例えば物的固定費支出の適値は税前利益の2.3倍程度であると推定した。また、研究開発投資効率について新しい考え方を提案し、それについての統計的平均値を示した。さらに従業員1人当たりに換算した研究開発費が、企業の将来性を判断するための尺度になるという統計的な調査結果は合理的な根拠を持つことを示した。

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