著者
関 要次郎
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.320-325, 2002-05-20

前世紀末より,人工内耳は内耳性聾の聴力回復法として大きな成果をあげている.障害された内耳(蝸牛)に代わって電気的に蝸牛神経を刺激し,コミュニケーションを可能とするもので,コンピューター技術による一種の人工臓器である.この技術を応用し,人工内耳の無効な蝸牛神経(第1次ニューロン)障害による聾に対し,聴力を回復しようとするのが,聴性脳幹インプラント(ABI)である.脳幹の蝸牛神経核で第2次ニューロンを刺激するが,基本的な装置の構造は人工内耳と同様で,刺激電極の形状のみが異なる.ABIの適応症例は,両側の蝸牛神経障害による聾,したがってその大部分が神経線維腫症第2型である.ABIはすでに世界で百数十例に実施され,人工内耳の発達とともに改良が加えられ,その聴取能を少しでも人工内耳に近づけるべく努力が続いている.このなかで現在期待されているのが,非刺激電極による神経活動のモニター法(neural response telemetry)の導入や,蝸牛神経核への深部電極の使用などである.

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編集者: Was a bee
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