著者
井上 秀雄 萩原 健一 中嶋 暉躬
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.307-313, 1993

チャイロスズメバチは, キイロスズメバチとモンスズメバチの巣に社会寄生することが知られている。本研究は, SDS電気泳動および高速液体クロマトグラフィーを用いて3種スズメバチの毒嚢成分の比較検討を行った。キイロスズメバチ毒とモンスズメバチ毒の泳動パターンには顕著な差が認められなかったが, チャイロスズメバチ毒は他の2種との成分パターンがわずかに異なり, 蛋白性成分の多様性が示された。さらに, チャイロスズメバチ毒には, スズメバチ毒に共通した活性ペプチドであるマストパランやVes-CPsが検出されなかった。一方, スズメバチ科のもつハチ毒の特徴であるセロトニン, ヒスタミン, ポリアミンがチャイロスズメバチ毒にも含まれていた。とくに, プロトレッシンおよびセロトニンの含量は他の2種に比べ顕著に高いことを認めた。これらの結果から, チャイロスズメバチ毒は, 従来報告されているスズメバチ属のハチ毒と異なる成分組成をしていることが示唆された。

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