著者
中山 康博 川本 文彦 須藤 千春 中嶋 暉躬 安原 義 藤岡 寿 熊田 信夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.315-326, 1985
被引用文献数
1 10

蚊刺咬による皮膚反応の機構を解明する試みのひとつとして, 蚊の唾液腺に含まれる成分について分析した。アカイエカCulex pipiens pallensの唾液腺の粗抽出物およびその低分子画分(mol. wt. <6,000)は, 蚊に無感作のモルモット皮内で血管透過性を亢進した。O-phthalaldehyde法によりhistamine染色を行うと, Cx.pipiens pallensおよびAedes togoiの唾液腺全体に強い陽性反応が観察された。αおよびβナフチルアセテートを基質としてエステラーゼ染色を行ったところ, Cx. pipiens pallensの唾液全体に強い陽性反応が認められ, 一方, Ae. togoiおよびAe. albopictusでは比較的弱い反応が観察されたのみであった。Cx. pipiens pallensの唾液腺抽出物を用いたin vitro実験では, TAME, BTEEおよびATEEの加水分解, 血液凝固阻止活性および溶血活性は検出されなかった。イオン交換高速液体クロマトグラフィー分析では, Cx. pipiens pallensの唾液腺抽出物中にhistamine, putrescine, spermine, およびspermidineが検出されたが, serotoninは検出されなかった。

8 0 0 0 OA 昆虫毒の化学

著者
中嶋 暉躬
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.677-681, 1986-10-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
21
著者
萩原 健一 鴾田 明子 三輪 昭子 川合 述史 村田 義彦 内田 明彦 中嶋 暉躬
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 1991-06-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
2 3

野外にて採集した9種類の日本産クモの毒腺中の化学成分のうちカテコラミン, ポリアミン等の生物活性アミンに着目し, これらの含有量を定量し比較した。その結果, クモ毒腺はカテコラミン類の含量は低いがポリアミンの含量が高いことが示された。ただし, 刺咬時の痛みが激しいことで知られているカバキコマチグモだけは例外的に, 毒腺にカテコラミン類およびセロトニンが検出され, これらが低分子の発痛物質として作用していると考えられた。毒腺抽出物を逆相高速液体クロマトグラフィー(逆相HPLC)により分離分析したところ, 各クモに固有のクロマトグラムパターンが得られ, クモ毒成分の多様性が示された。さらに, 逆相HPLCで分画した毒成分について, イセエビ歩脚の神経-筋標本を用いて神経伝達阻害作用をもつ物質のスクリーニングをおこなったところ, クサグモ(Agelena)の毒分画中に新たな神経毒を見いだした。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 金子 茂 中嶋 暉躬 安原 義 与那原 孫伝
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-71, 1981
被引用文献数
8

サソリモドキ類は世界で約70種が知られ, 日本には1属2種, タイワンサソリモドキTypopeltis crucifer Pocock, 1894とアマミサソリモドキT. stimpsonii (Wood, 1862)を産する。これらは肛門付近から酢酸臭の強い分泌液を噴射する。米国産大形種Mastigoproctus giganteusについてはEisner et al. (1961)の報告がある。われわれは沖繩石垣島産タイワンサソリモドキの噴射液を, ガスクロマトグラフィー, マススペクトラム法, 高速液体クロマトグラフィーを用いて調べ, その組成は, 酢酸81.7%, カプリル酸5.4%, 水12.9%で, 活性アミン, ペプチド様物質は痕跡程度であった。Eisnerの報告では酢酸84%, カプリル酸5%, 水11%で, このように地域, 属が異なるのに噴射液の組成がほぼ同様であることは興味深い。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 中嶋 暉躬 安原 義
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.83-86, 1985
被引用文献数
4

日本産有毒鱗翅目の12種(カレハガ科 : マツカレハ, ツガカレハ, イワサキカレハ, タケカレハ;イラガ科 : イラガ, クロシタアオイラガ, アオイラガ, ヒロヘリアオイラガ;ドクガ科 : ドクガ, チャドクガ, モンシロドクガ;マダラガ科 : タケノホソクロバ)の幼虫の毒針毛, 毒棘中に含まれているヒスタミンとセロトニンの定量を, イオン交換高速液体クロマトグラフィーを用いて行った。セロトニンは, すべての種において見出すことができなかった。ヒスタミンは, カレハガ科4種には見出せなかったが, 他の8種にはすべて見出され, その定量を行った。
著者
中嶋 暉躬 安原 義 吉田 久信 上野 弥生 大塚 智恵 浜本 昌子 信森 光子 平井 裕子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.139-147, 1984
被引用文献数
8

本邦産スズメバチ科のハチ毒キニンを単離し, その構造を解析した。すでにわれわれが構造を解析したものも含め, 9種類の本邦産ハチ毒キニンのアミノ酸配列からPolistes属, Vespa属およびVespula属のハチ毒キニンの構造上の特徴を提示した。
著者
糸川 英樹 加納 六郎 金子 茂 中嶋 暉躬 安原 義 与那原 孫伝
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.67-71, 1981-03-15 (Released:2016-09-03)
被引用文献数
6 8

サソリモドキ類は世界で約70種が知られ, 日本には1属2種, タイワンサソリモドキTypopeltis crucifer Pocock, 1894とアマミサソリモドキT. stimpsonii (Wood, 1862)を産する。これらは肛門付近から酢酸臭の強い分泌液を噴射する。米国産大形種Mastigoproctus giganteusについてはEisner et al. (1961)の報告がある。われわれは沖繩石垣島産タイワンサソリモドキの噴射液を, ガスクロマトグラフィー, マススペクトラム法, 高速液体クロマトグラフィーを用いて調べ, その組成は, 酢酸81.7%, カプリル酸5.4%, 水12.9%で, 活性アミン, ペプチド様物質は痕跡程度であった。Eisnerの報告では酢酸84%, カプリル酸5%, 水11%で, このように地域, 属が異なるのに噴射液の組成がほぼ同様であることは興味深い。
著者
中山 康博 川本 文彦 須藤 千春 中嶋 暉躬 安原 義 藤岡 寿 熊田 信夫
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.315-326, 1985-12-15 (Released:2016-09-02)
被引用文献数
8 10

蚊刺咬による皮膚反応の機構を解明する試みのひとつとして, 蚊の唾液腺に含まれる成分について分析した。アカイエカCulex pipiens pallensの唾液腺の粗抽出物およびその低分子画分(mol. wt. <6,000)は, 蚊に無感作のモルモット皮内で血管透過性を亢進した。O-phthalaldehyde法によりhistamine染色を行うと, Cx.pipiens pallensおよびAedes togoiの唾液腺全体に強い陽性反応が観察された。αおよびβナフチルアセテートを基質としてエステラーゼ染色を行ったところ, Cx. pipiens pallensの唾液全体に強い陽性反応が認められ, 一方, Ae. togoiおよびAe. albopictusでは比較的弱い反応が観察されたのみであった。Cx. pipiens pallensの唾液腺抽出物を用いたin vitro実験では, TAME, BTEEおよびATEEの加水分解, 血液凝固阻止活性および溶血活性は検出されなかった。イオン交換高速液体クロマトグラフィー分析では, Cx. pipiens pallensの唾液腺抽出物中にhistamine, putrescine, spermine, およびspermidineが検出されたが, serotoninは検出されなかった。
著者
井上 秀雄 萩原 健一 中嶋 暉躬
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.307-313, 1993

チャイロスズメバチは, キイロスズメバチとモンスズメバチの巣に社会寄生することが知られている。本研究は, SDS電気泳動および高速液体クロマトグラフィーを用いて3種スズメバチの毒嚢成分の比較検討を行った。キイロスズメバチ毒とモンスズメバチ毒の泳動パターンには顕著な差が認められなかったが, チャイロスズメバチ毒は他の2種との成分パターンがわずかに異なり, 蛋白性成分の多様性が示された。さらに, チャイロスズメバチ毒には, スズメバチ毒に共通した活性ペプチドであるマストパランやVes-CPsが検出されなかった。一方, スズメバチ科のもつハチ毒の特徴であるセロトニン, ヒスタミン, ポリアミンがチャイロスズメバチ毒にも含まれていた。とくに, プロトレッシンおよびセロトニンの含量は他の2種に比べ顕著に高いことを認めた。これらの結果から, チャイロスズメバチ毒は, 従来報告されているスズメバチ属のハチ毒と異なる成分組成をしていることが示唆された。
著者
石川 治 橋本 勉 中嶋 暉躬 田中 治 糸川 秀治
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.976-979, 1978-07-25

For the analysis of Coptidis Rhizoma, high-speed liquid chromatography was examined, not only for its major alkaloid, berberine, but also for its minor alkaloids. It was found that under an appropriate condition [on starch gel (LS-170), eluted with the solvent system of H_2O : MeCN : AcOH : Et_3N=80 : 20 : 0.3 : 0.745,pH 8.5], sufficient separation of berberine, magnoflorine, jatrorrhizine, palmatine, coptisine, and some other unidentified alkaloids was obtained. By means of the present procedure, content of berberine and relative content of palmatine and coptisine to berberine in some of wild and commercial coptis rhizomes were determined. Since the solvent system does not contain any nonvolatile salt, the present technique also offers the possibility of application to rapidpreparative separation of alkaloids of this type by liquid chromatography. The application to analysis of alkaloids of phellodendron-cortex is also described.