- 著者
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谷川 力
- 出版者
- 日本衛生動物学会
- 雑誌
- 衛生動物 (ISSN:04247086)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.129-132, 1994
- 被引用文献数
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ワルファリンのRR因子50%を含む抵抗性クマネズミのコロニー〔RR〕・F_1に対して, さまざまな濃度のワルファリンあるいはダイファシノンを与えてネズミの死亡を観察した結果, 次の知見が得られた。1)ワルファリン0.025%を含有する毒餌に対して抵抗性を示すコロニーは, 0.25%あるいは0.5%含有の高濃度毒餌の投与によって短期間に致死効果が得られる。2)ワルファリン抵抗性のこのコロニーは, ダイファシノンに対して交差抵抗性を示す。3)ダイファシノンを0.005%含有する毒餌を与えた場合, その死亡率-経日曲線は一つのプラトーをもつ曲線を形成し, このプラトーからダイファシノンに対するRR構成比はおよそ25%と推定された。この値はワルファリンに対するRR構成比50%より低い。4)ダイファシノンを高濃度に含有する毒餌(0.015%, 0.025%)を投与した場合には, 短期間にすべてのネズミが死亡し, 抵抗性は認められなかった。5)ワルファリン0.025%含有毒餌は, クマネズミに対してダイファシノン0.005%含有毒餌とほぼ同等の効力をもつものと考えられる。