著者
安富 和男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.124-129, 1961
被引用文献数
2

茨城, 千葉両県下の一部地域で, 1960年秋より1961年春にかけて採集したイエバエ群を主な実験材料として, diazinonに対する抵抗性の発達, 消失, ならびに交叉抵抗性の関係について実験した結果, 次のような諸点が判明した. 1.茨城県鉾田町美原地区, 茨城町小幡地区, 千葉県袖カ浦町浜宿地区などから採集したイエバエ群は, 標準の高槻系統の10〜20倍の(LD)_<50>値を示したが, これらを, さらに実験室的に5世代, diazinonで淘汰すると, 2〜4倍抵抗性が増大し, とくに, 鉾田産イエバエ群を6代淘汰したものは, 高槻系統に比べて, 約100倍大きなLD_50の値(2.5098μg/♀fly)を示した.しかし, 彦根産イエバエ群を8代淘汰しても, 抵抗性は2.2倍しか増大せず, 抵抗性の発達度は, イエバエのpopulationによつて大差が見られる.また, 茨城県出島村上郷地区産イエバエは, 実験室における3代の淘汰よりも現地における1年間のdiazinon撒布(10回の残留噴霧)の方がむしろ抵抗性の発達が大きかつた. 2.RP系統では, 46世代薬剤との接触なしに飼育しても, diazinon抵抗性は低下しなかつたが, 鉾田産イエバエ群, および茨城町産イエバエ群では, 薬剤との接触なしに5世代の間飼育すると, diazinon抵抗性は若干消失するが, さほど顕著でなかつた. 3.Diazinonに抵抗性の強い各イエバエ群は, DDVP, malathion, Nankor, Baytexに対しても, 標準の高槻系統より2〜4倍程度大きな値を示したが, diazinonの場合に比べると, Resistance ratioは小さかつた.

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