- 著者
-
青木 淳一
- 出版者
- 日本衛生動物学会
- 雑誌
- 衛生動物 (ISSN:04247086)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.11-15, 1962
- 被引用文献数
-
2
3
1) 全国41都道府県の主として種畜場放牧場の土壌中のササラダニ類を調査した結果, 合計13科19属31種1877個体のササラダニが検出された.2) 1地域のササラダニ種類数は平均3.0種で, 他の環境下の土壌と比較するとき, 放牧場のササラダニ相は著るしく単純なことを示している.3) 科別にダニを比較すればScheloribatidae (オトヒメダニ科)とGalumnidae (フリソデダニ科)の2科が個体数・頻度ともに最も大きく, Euphthiracaridae (タテイレコダニ科)などのイレコダニ上科に属するものがきわめて少ないのが特徴である.4) 優勢性および検出率からみるとき, 主要種としてScheloribates rigidiselosus Willm.(マガタマオトヒメダニ)とTrichogalumna lunai Bal.(チビゲフリソデダニ)の2種をあげる.これらはわが国の放牧場のダニ相を代表する種類と考えられるし, 条虫類の中間宿主としての可能性も大きい.5) Scheloribates laevigatus (Koch)ハバビロオトメヒメダニ)は欧米においてMoniezia expansaその他の条虫類の中間宿主たることが確認されており, 本調査においても前記2種に次いで多く検出されていることは注目に価する.