- 著者
-
青木 淳一
- 出版者
- The Acarological Society of Japan
- 雑誌
- 日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.7-13, 1992-05-25 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
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栃木県宇都宮市上横田町にある温室内で栽培されているランの一種(Vanda)の茎・葉・花および培地から多数のササラダニ類が発見され,調査の結果,それらはパナマ,コロンビア,ヴェネズエラから知られるMochlozetes penetrabilis Grandjean(マルコバネダニ,新称),グァテマラから知られるPeloribates grandis(Willmann)(オオマルコソデダニ,新称),日本南部に分布するScheloribates decarinatus Aoki(ミナミオトヒメダニ,新称),および新種Hemileius clavatus(イムラフクロコイタダニ,新称)の4種からなることがわかった。これらのダニはランの輸入先であるタイ国から植物体に付着して移入されたものと思われる。今のところ植物に対する害の有無は不明であるが,ダニ体内に生きた植物に由来すると思われるものは見られず,一部の個体からは多量の菌類の胞子が見つかったことから,ランの植物体上や培地に生育する菌源を栄養源としているものと推定される。