著者
松本 克彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.262-271, 1961
被引用文献数
3 1

ケナガコナダニの繁殖条件のうち, 温度と栄養をほぼ至適条件として, 環境湿度ないし食物中の水分含量と繁殖状況の関係について検討した.1.粉末飼料(水分含量6.6%), 七味とうがらし(水分含量8.8%)のような粉末状の試料で, 水分含量を一定にし, 環境湿度を変えて, ケナガコナダニの繁殖状況について調べた.実験開始後48日または53日では環境湿度95%RHにおいた試料のコナダニ繁殖状況が最良であつた.同じように粉末状態の試料(粉末飼料および乾燥酵母剤)で環境湿度を一定にして試料の水分含量を変えてコナダニの繁殖状況を観察した.コナダニ繁殖の至適水分含量は各々17.7%, 16.6%であつた.2.環境湿度に影響され易いけずりぶしの場合, コナダニの繁殖の至適環境湿度は高湿度から経時的に移動して, 85-75%RHに定まつた.このさいのけずりぶしの水分含量は何れも20〜30%以内であつた.8.米の場合に水分含量が外部の湿度に影響されにく, 15.0%付近にあるので, コナダニ繁殖の至適環境湿度は85-75%に落着いた.八分搗き米, 五分搗き米のコナダニ繁殖状況は良好であつたが, 白米および玄米では不良であつた.4.乾燥酵母剤, コナミルク, スキムミルクの最初の水分含量を変えて, 各々を環境湿度別におき, それのケナガコナダニの繁殖状況を観察した.実験初期には水分含量が低くて環境湿度の高い試料と, 水分含量18.8%, 環境湿度75%RHの試料のコナダニ繁殖状況が良好であつた.時間の経過と共に最初の水分含量に関係なく, 環境湿度75%RHの試料のコナダニ繁殖が盛んになつた.以上の結果を総合すると, 水分含量の少い粉末状の試料では最初コナダニ繁殖に高湿度を要求するが, 次第に試料の水分含量は環境湿度に影響されて, 水分含量が高くなると, 至適環境湿度は85-75%RHとなり, このさいの至適水分含量は15-20%であることが分つた.すなわち, ケナガコナダニの各食品における繁殖には食品自身の水分含量と環境湿度の両者が著しく影響することが判明した.

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ronbuntter : こんな論文どうですか? コナダニ類の繁殖条件の研究 : I. ケナガコナダニの繁殖と湿度及び水分含量の関係について,1961 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824563
こんな論文どうですか? コナダニ類の繁殖条件の研究 : I. ケナガコナダニの繁殖と湿度及び水分含量の関係について,1961 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824563

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