著者
箕輪 尚子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.17-23, 2000
参考文献数
36
被引用文献数
1

日本の労働が身体的負担中心の労働から知的・心理的能力を要求される精神活動によって生産がなされる形態に変化してきた.筆者は, 情報システム作業者の健康を取り上げ, どのような作業負担を受けているかを調査解析した.某企業の情報システム設計作業者2, 396名(男性2, 169名のみ解析)についての健康調査票の結果について解析した.「作業の質の負担」がある者が63.5%, 「量の負担」がある者が36.0%で, 作業の「量の負担」より「質の負担」を訴える者が非常に多かった.精神健康指標と作業負担との関係では, 作業の「質の負担」のある者では, 不眠が25.5%で, 負担のない者ではそれが11.1%であった.同じく抑うつ感で, 作業の「質の負担」のある者は40.3%, 「質の負担」のない者では, 18.7%であった.作業の「量の負担」のある者では, 不眠のある者は27.7%, ない者は15.9%で, 抑うつ感では, 「量の負担」のある者では42.8%, ない者では26.3%であった.他の精神健康指標においても, 「作業の質の負担」や「量の負担」との関係が強くみられた.特に「作業の質の負担」の方が強く関係していた.「作業の質の負担」は対象業務の多様性, 製造工程管理の未熟性, 技術の進歩の早さ等々の多種の要因を含んでおり, それぞれの作業別に異なるものである.また作業者個人の能力や人格とも大きく関係している.これらからの産業保健活動は作業関連性健康障害の視点から「作業の質」つまり作業内容や業務システムおよび労働者の個別性に踏み込んだ健康管理の必要性が示唆された.

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