- 著者
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渡辺 也恭
西脇 亜也
菅原 和夫
- 出版者
- 日本草地学会
- 雑誌
- 日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.135-139, 1999-07-31
- 被引用文献数
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8
永年人工放牧草地に侵入・優占するミノボロスゲの種子発芽戦略の解明を目的として,その休眠解除条件の検討および草地に生育する他草種との休眠の深さの違いを比較した。ミノボロスゲ種子は,休眠を示し,6カ月間の長期冷湿保存以外の処理では休眠が解除されなかった。長期冷湿処理により後熟したミノボロスゲ種子の休眠解除には,光,変温およびその交互作用が影響し,特に光効果の影響が強かった。光,変温およびその交互作用の3つの影響は,ミヤマカンスゲ,ハルガヤおよびエゾノギシギシの3種でも見られた。しかし,これらの草種は,後熟のために冷湿処理を必要としないこと,変温効果の影響が強いこと,およびミヤマカンスゲを除いて,変温または光単独条件下で休眠解除される種子の多いことがミノボロスゲ種子と異なっていた。ミノポロスゲ種子の休眠解除機構は,他草種の種子と比較して厳しく,それは,草地で裸地検出機構として働き,家畜や作業機械により頻繁に裸地が出現する人工放牧草地での,ミノボロスゲの侵入・優占化の要因の1つになると推測される。