著者
植下 協 桑山 忠
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

昭和47年7月愛知県西三河地方の花崗岩地帯を襲った集中豪雨による地盤災害については従来雨量の少なかった地方に発生したこと, 大部分が自然斜面の崩壊であったこと, その発生頻度が地域内の基盤岩質によって著しく異なっていたことなどが特徴として挙げられている。崩壊規模は小さいものが多く, ほとんどが表層すべりであり, 同じ花崗岩地帯であっても, 粗粒黒雲母花崗岩地帯と角せん石・黒雲母花崗せん緑岩地帯とで斜面崩壊の発生頻度に大きな差があることが報告されている。東海地方を襲った豪雨は愛知県半田市付近から北東に伸びる幅20km, 長さ80kmの狭い帯状地域に集中しており, 中心地区の愛知県西加茂郡藤岡村, 小原村では7月12日21時から13日2時までの5時間に200〜250 mmの降雨量があったことが述べられている。筆者らは災害発生直後に組織された調査研究班に土質工学分野から参加し, 災害直後の航空写真を解析するとともに, 崩壊現地の調査を行なっている。それとともに, 今回のような崩壊多発山間地域の中で, 豪雨時に安全な場所を探すことも目的の一つとし, 同じような斜面で崩壊をまぬがれたところについても調査が行なわれたことが述べられている。しかし, 崩壊しなかった斜面下部に小規模な崖錐とか人口の石積などが散見され, 崩壊防止にこれらが役立っていたのではないかと述べられている。

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