著者
田中 茂
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

本報文では, まず降雨による鉛直浸透をいろいろな場合に分類し, 解析に必要な基本式を筆者の考えに基づき誘導し, 解説している。以下, 箇条書きにすると, 均等質土層への鉛直浸透として, (1)間隙空気圧の圧縮を伴う場合, (2)強雨が突然やんだ後の水の運動, (3)強雨が突然に弱雨に変わったときの浸透, (4)(3)の降雨が突然停止し, 小休止後再開した時の浸透, また透水係数を異にする互層への鉛直浸透として, (i)上部粗粒土, 下部粗粒土からなる地層への浸透, (ii)上部細粒土, 下部粗粒土からなる地層への浸透, である。次に表土層と基岩からなる自然斜面, および基岩が破砕されている斜面の浸透について定性的な解説が行なわれている。最後に自然斜面への浸透を鉛直浸透が進行して透水性の悪い層に達して消失するまでと, 透水性の悪い層の上に自由小面が発生し, 急速に上昇して流線方向が逆転する状態の2段階に分け, 第2段階の浸透について解説している。斜面の雨水による崩壊を解析する場合はこのようないろいろな浸透現象を十分把握したうえで解析する必要があるとしている。

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