著者
田中 茂穂
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.1013-1019, 2009 (Released:2009-10-20)
参考文献数
27
被引用文献数
7 1

総エネルギー消費量は、基礎代謝量と食事誘発性体熱産生、身体活動によるエネルギー消費量に分けられる。基礎代謝量は、標準的な日本人において約6割を占めるが、体格・身体組成からある程度推定できる。ただし、ハリス・ベネディクトの式では、若い年代をはじめ、成人全体において、過大評価する傾向がみられる。一方、身体活動、特に運動以外の身体活動によるエネルギー消費量 (NEAT) には、同じ体格でも大きな個人差がみられる。総エネルギー消費量を推定するための方法としては二重標識水 (DLW) 法がベストの方法とされているが、現実的には、それぞれの方法の特徴をふまえた上で、加速度計法あるいは生活活動記録などを用いることとなる。
著者
田中 千晶 岡田 真平 高倉 実 橋本 圭司 目澤 秀俊 安藤 大輔 田中 茂穂 Anthony D Okely
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.327-333, 2020-08-01 (Released:2020-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
4

This study examined the relationship between meeting the World Health Organization’s (WHO) 24-Hour Movement Guidelines for the Early Years and motor skills and cognitive function in preschool children. Participants were 4-year-old boys and girls in urban and rural areas (n=69). Physical activity was measured using a triaxial accelerometer (ActiGraph GT3X). Screen time and sleep duration were assessed via self-report by guardians. Meeting the 24-h movement guidelines was defined as: 10 to 13 h/night and nap of sleep, ≤1 h/day of sedentary screen time, and at least 180 min/day more than 1.5 METs. Motor skills were evaluated by the Ages & Stages Questionnaires, Third Edition (ASQ-3). Executive functions (shifting, visual-spatial working memory and inhibition) were evaluated by the Early Years Toolbox (Japanese translation). The prevalence of children meeting all three recommendations was 7.2% and 7.2% met none of the three recommendations. Children meeting physical activity recommendation had a better inhibition score compared to children meeting none of the recommendation (p=0.005). While, children not meeting the sleep recommendation had a better inhibition score compared to children meeting of the recommendation (p=0.042). In conclusion, meeting the physical activity or sleep recommendations were positively or negatively associated with the inhibition score. On the other hand, meeting none of the sedentary behaviour and the 3 recommendations was not associated with motor skills or cognitive function.
著者
北川 亘 清水 一雄 赤須 東樹 田中 茂夫
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.57-61, 2003 (Released:2003-02-24)
参考文献数
11
被引用文献数
9 12

Thyroid disease is comparatively prevalent, and it is important to perform careful palpation of the anterior neck when patients are first examined. In this paper, the latest data on and clinical characteristics of the epidemiology of thyroid carcinoma are described.According to Japanese cancer statistics, in 1996, the number of cases of thyroid carcinoma was 1,390 men and 5,437 women. The female to male ratio was 3.91: 1. The crude rate of thyroid carcinoma per 100,000 population was 2.3 men and 8.5 women. The age-adjusted incidence rate showed a gradual increase with age, and the peak of the age-adjusted incidence rate was over 80 years old among men, and from 70 to 80 years old among women.According to the Japanese Thyroid Cancer Registration Committee, from 1977 to 1999, papillary thyroid carcinoma accounted for more than 85% (30,256) of thyroid carcinomas among 35,312 patients. Medullary thyroid carcinoma (1.4%) and anaplastic thyroid carcinoma (1.6%) were rare. The female to male ratio of thyroid carcinoma was 6.1: 1. Registration was made in accordance with the general rules issued by the Japanese Society of Thyroid Surgery. According to the vital statistics, mortality related to thyroid carcinoma among all cancer-related deaths was 0.23% among men (411) and 0.76% among women (887) in 2000. The female to male ratio of mortality was 2.16: 1. The peak of mortality was from 70 to 80 years old among men, and from 80 to 90 years old among women.Most patients with differentiated thyroid carcinoma had a low mortality rate, but anaplastic carcinoma had a poor prognosis. Lung and bone were the main distant metastatic sites, and respiratory insufficiency was the most common specific fatal condition.
著者
加藤 友香 浅野 和之 並木 誠 久楽 賢治 佐々木 由枝 手島 健次 枝村 一弥 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.54-57, 2005-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

特発性乳糜胸と診断された猫に対し, 高用量ルチン療法 (500mg, 1日3回, 経口投与) による治療を行った. 治療開始後, 胸水量は徐々に減少した. さらに29日後にルチンの1日投与量を1, 500mgから2,000mgに増量したところ, 治療開始後150日目には胸水貯留がほとんど認められなくなり, 最終的に治療開始後450日目にルチン投与を中止することができた. 現在, 治療開始後約2年を経過したが, 胸水の貯留や臨床症状は認められていない. 以上の結果から, 猫の特発性乳糜胸に対して高用量ルチン療法が右効である可能性が示唆された.
著者
小野 眞紀子 大野 奈穂子 長谷川 一弘 田中 茂男 小宮 正道 松本 裕子 藤井 彰 秋元 芳明
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-85, 2008-08-01 (Released:2010-06-08)
参考文献数
34
被引用文献数
4

15種類のカルシウム拮抗薬による歯肉増殖症発生頻度を検討した.歯肉増殖症はamlodipine, diltiazem, manidipine, nicardipine, nifedipineおよびnisoldipine服用者に認められたが, azelnipine, barnidipine, benidipine, efonidipine, felodipine, flunarizine, nilvadipine, nitrendipineおよびverapamil服用者にはみられなった.最も高い発生頻度はnifedipine (7.6%) であり, diltiazem (4.1%) , manidipine (1.8%) , amlodipine (1.1%) , nisoldipine (1.1%) , nicardipine (0.5%) の順であった.Nifedipineによる歯肉増殖症発生頻度は, amlodipine, manidipine, nicardipine, nisoldipineの発生頻度と比較して有意に高かった.

4 0 0 0 OA 日本名画鑑

著者
田中茂一 編
出版者
田中茂一
巻号頁・発行日
vol.徳川時代之部 松村月渓 下, 1900
著者
山本 祥子 高田 和子 別所 京子 谷本 道哉 宮地 元彦 田中 茂穂 戸谷 誠之 田畑 泉
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.195-200, 2008-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

We measured the basal metabolic rate (BMR), fat-free mass (FFM) and physical activity level (PAL) of well-trained bodybuilders as typical athletes with muscular development by resistance training in order to examine the standard BMR and PAL ranges for athletes. The subjects were 14 bodybuilders (mean±SD age: 36.8±9.1y.; height: 171.6±6.2cm; weight: 77.1±7.6kg; FFM: 67.6±6.8kg) who each trained for an average of 7.5h per week. BMR was measured by using a Douglas bag, the oxygen and carbon dioxide concentrations were analyzed by mass spectrometry, and FFM was measured by dual X-ray energy absorptiometry. PAL was measured by the doubly labeled water method for 7 subjects selected from the 14 bodybuilders. BMR/FFM was 25.4±2.1kcal/kg of FFM/day. Total energy expenditure (TEE) was 3, 432±634kcal, and PAL calculated as TEE divided by BMR was 2.00±0.21. The FFM value needs to be considered when evaluating a standard BMR range, and both training and daily physical activity levels should be considered when evaluating a standard PAL range.
著者
田中茂穂 著
出版者
田中茂穂
巻号頁・発行日
vol.第1巻 第2巻 第3巻 第4巻 第5巻 第6巻 第7巻 第8巻 第9巻 第10巻, 1919
著者
有松 優行 渥美 生弘 諏訪 大八郎 大熊 正剛 土手 尚 石田 惠章 齋藤 隆介 古内 加耶 小林 駿介 伊藤 静 德山 仁美 中安 ひとみ 出口 美義 光定 健太 角屋 悠貴 武田 栞幸 田中 茂
出版者
日本脳死・脳蘇生学会
雑誌
脳死・脳蘇生 (ISSN:1348429X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.91-94, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
8

【目的】本人,家族に臓器提供の意思があったが虐待の可能性が否定できなかったために臓器提供に至らなかった1例を報告する。【症例】13歳,男性。現病歴:自宅内で首を吊っていたところを発見され,救急搬送された。経過:搬送後に経口挿管を行い,アドレナリンを投与し自己心拍が再開した。入院4日目に脳幹反射が消失し,CT検査で脳浮腫,脳波で平坦脳波を確認した。本人の保険証に臓器提供の意思が確認され,家族にもその意思があった。しかし,来院前日に父親が患者を叱責した事実が明らかになった。警察と児童相談所へ照会を行い,院内の倫理委員会で,虐待の事実は確認できないが可能性が否定できないとされた。「法的脳死判定マニュアル」1)で,脳死判定の除外例に「被虐待児,または虐待が疑われる18歳未満の児童」をあげていることから,脳死判定を行わず臓器提供も行わない方針とした。【まとめ】虐待の否定ができないことが臓器提供を行うことができないことに直結する現制度は,患者本人の意思を尊重できない可能性がある。
著者
田中 茂喜 佐々木 崇文 石黒 奈央 浦野 孝太郎 小山 秀一 木村 勇介 町田 登
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.162-166, 2019-03-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1

爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失していた.このような房室伝導系病変が,インパルスの房室伝導を遮断したものとみなされた.
著者
田中 茂範
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.28-31, 2005 (Released:2009-10-16)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
石原 有希子 田中 茂博 山田 朋幸 小阪 明仁 鴨井 祥郎 吉良 有二
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1609-1615, 2010 (Released:2012-06-15)
参考文献数
29

症例は, 気管支喘息(bronchial asthma; BA)の既往と喫煙歴のある76歳男性で, 吸入ステロイドとβ2刺激薬を常用していた. 2008年9月持続する心窩部痛とV2~4およびII, III, aVFの持続性ST低下より急性側壁心筋梗塞の診断にて入院した. 気管支喘息発作を併発し, ヨード造影剤使用による合併症のリスクが高くなることと, 血行動態が安定していたことから, 待機的冠動脈造影(coronary angiography; CAG)を行う方針とし抗凝固薬, 硝酸薬持続投与を開始した. 第2病日には症状は消失し, ステロイドとβ2刺激薬の定時吸入により呼吸状態も安定していた. 第5病日CAGに備え硝酸薬を中止したところ3時間後に胸部苦悶を訴えショックとなった. 喘鳴を伴い, 喘息発作増悪やうっ血性心不全を考えたが, 短時間型β2刺激薬吸入や利尿薬静注に反応せず否定された. II, III, aVFのST上昇を認めたため, 新たな急性冠症候群を疑いCAGを施行した. 左回旋枝(left circumflex artery; LCX) #11: 100%閉塞とLAD・RCAのび漫性攣縮を認め, 多枝冠攣縮が急性心筋梗塞に合併し広範心筋虚血に陥ったと考えた. ISDN冠注により攣縮解除後血行動態はすみやかに安定した. LCXに経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行し, CK再上昇や再発作はなく経過した. ステロイドによる喘息治療とCa拮抗薬・硝酸薬による冠攣縮予防とを継続し第20病日退院した. 冠攣縮が気管支喘息発作に合併した可能性やβ2刺激薬使用が急性心筋梗塞・多枝冠攣縮発症のリスクあるいは誘因となった可能性が示唆された.
著者
田中 眞吾 沖村 孝 田中 茂
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.262-281, 1983-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
23
被引用文献数
3 4

神戸市中心部の自然的背景は,1,000m近い起伏をもつ山地が直接,海にのぞみ,低平地を欠くといううらみがあった.第2次大戦後の都市発展のための低平地の確保は,このような自然的背景から,市街地の後背山地の開発と,その土砂による前面の海面の埋立てという2面において行なわれた.すなわち,その両面において大規模地形改変が進行した. 背山における大規模地形改変と土砂採取は, 1960年代より急増し,地域的には市街地に近接した六甲山地南麓から次第に西方の丘陵地・六甲山西部山頂地区を経て,より遠隔地へと移動し,開発規模も大型化した.また,これらの開発の事業主体は,主として公共企業体によっているという特色をもっている.このようにして,すでにポートアイランドを代表とする10km2の低平地が得られ,港湾・公共・工業なちびに住宅の各用途に向けられている. これらの事業は,しばしばの大災害属歴をもつ六甲山地や,既成の大人口密集地や伝統産業地区(たとえば灘の酒造地区)などとの深いかかわりあいをもつゆえに,すでに1950年代後半の時期から,環境アセスメント的配慮がなされ,防災・環境保全・景観保全などの諸点から,土取りや土砂輸送などの具体面において,数多くのユニークな方式がとられてきた.これらは,今後の大規模地形改変に際して,種々の示唆を提示しているものと思われる.
著者
石崎 俊 田中 茂範 今井 むつみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.28, pp.17-24, 1994-03-17
被引用文献数
6

自然な発話状況における対話では、従来の文法に基づいて判断するとおかしいが、意味は自然でよく分かる文が多く見られる。そのような対話文では意味を主体にした解析手法が望ましい。しかし、従来の意味解析手法や辞書の機能では「固い」ため、そのような意味解析を実行するには不十分なことが多い。そこで、本研究では、従来よりも柔軟な意味解析機構をもつモデルの構築を目標とし、それに適した意味解析法と、概念辞書における距離空間の導入について基礎的な検討を行う。概念辞書において概念間の距離を、従来のように階層構造をたどるのではなく、多次元尺度法を用いて定量的に距離を測ることによって距離空間を構成することを検討する。次に、状態を表す概念を指標としたSD法を用いて意味空間における距離を計算し、動的な意味の変化について基礎的な検討を行う。In spontaneous conversation, we have many ungrammatical but semantically natural sentences. Analysis based on semantics or context seems appropriate for such conversational texts. The traditional methods for semantic analysis or structures of concept dictionaries are not enough to treat with such texts. This paper discusses, therefore, a computational model which has a flexible mechanism for semantic analysis and discusses functions and a structure which concept dictionaries should have. For example, using cognitive psychological experiments, MDS method, a metric space among concepts can be organized. Then, SD method using concepts of state as parameters introduces a metric space where dynamic semantic analysis can be formalized. This paper discusses possibilities of these new approaches.
著者
杉山 智香 久保田 泰一郎 田中 茂男 佐藤 敬
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.37-41, 1994-04-30 (Released:2010-12-09)
参考文献数
15

兎の大腿骨の骨髄中に, 直径0.5mmで長さ5mmの白金電極2本を20mmの間隔をおき刺入し, 医療において用いられている20μAと筆者らの検討の結果の電位をもとにした条件 (2.0~2.2V) で, それぞれ14日間通電した結果,1) 20μAでは2.5Vの通電となり, 骨髄中の陽電極周囲組織は壊死や変性, あるいはガス発生所見を呈し, 刺入部の骨皮質は肥厚した。2) 2.0~2.2Vでは, 陽・陰電極周囲に髄内仮骨, 刺入孔周囲に骨膜性仮骨がみられた。また, 通電による骨の仮骨の新生は, 損傷を受けた骨組織を中心として形成されることが判明し, 骨新生は髄内より皮質において高度で, また, この通電手技によると陽極側が陰極側よりも顕著であった。