著者
平賀 武夫 阿部 光雄
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.p1199-1206, 1986-12
被引用文献数
4

ホルスタイン種子ウシ, 雌雄各4例の頚部心臓逸所症例を剖検し, 胸骨を軟X線学的に観察した。異常子ウシの生存期間は出生後3分から312日であった。心臓は頚部腹側で筋肉と皮膚に被われ, 心膜腔内に位置し, その二重心尖は前背方を, 心底は後腹方を向いていた。全例で, 大動脈弓からの主要動脈の分岐はイヌ型を示し, 多くの例で重複前大静脈と重複奇静脈も認められた。胸骨柄の幅は極めて広く, 胸郭前口も広かった。胸骨は前後に短く, 幅は広く, 13〜26個の胸骨片で構成され, 胸骨柄と胸骨体の骨片は対の様相を呈していた。胸腺の胸部は欠如し, 頚部は心臓の前背方に集合していた。線維性心膜から伸びる靭帯が, 前方では下顎骨と耳下腺筋膜に, 側方では頚筋膜に, また後方では第一肋骨あるいは胸骨柄に付着し, 心臓を保定していた。

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