著者
平賀 武夫 阿部 光雄
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.456-460, 1985-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
33
被引用文献数
3 3

これまで3回の正常な出産歴をもった5才のホルスタイン種乳牛が, 長期在胎のため廃用屠殺され, その子宮内に無脳症胎子が認められた. この胎子は外観的に頭部を完全に欠如し, 剖検により非常に発育の悪い頭蓋と, その内部に延髄のみと思われる神経組織が認められた. 頭蓋破裂は認められなかった.その他, 泌尿生殖器の奇形, 胸椎と肋骨の減数, 胸骨の形と骨化の異常および鎖肛なども認められた. 本例は過去の報告例と比較検討した結果, 重度の無脳症と考えられた.
著者
平賀 武夫 阿部 光雄
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.p1199-1206, 1986-12
被引用文献数
4

ホルスタイン種子ウシ, 雌雄各4例の頚部心臓逸所症例を剖検し, 胸骨を軟X線学的に観察した。異常子ウシの生存期間は出生後3分から312日であった。心臓は頚部腹側で筋肉と皮膚に被われ, 心膜腔内に位置し, その二重心尖は前背方を, 心底は後腹方を向いていた。全例で, 大動脈弓からの主要動脈の分岐はイヌ型を示し, 多くの例で重複前大静脈と重複奇静脈も認められた。胸骨柄の幅は極めて広く, 胸郭前口も広かった。胸骨は前後に短く, 幅は広く, 13〜26個の胸骨片で構成され, 胸骨柄と胸骨体の骨片は対の様相を呈していた。胸腺の胸部は欠如し, 頚部は心臓の前背方に集合していた。線維性心膜から伸びる靭帯が, 前方では下顎骨と耳下腺筋膜に, 側方では頚筋膜に, また後方では第一肋骨あるいは胸骨柄に付着し, 心臓を保定していた。