- 著者
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浅野 紘臣
磯部 勝孝
坪木 良雄
- 出版者
- 日本雑草学会
- 雑誌
- 雑草研究 (ISSN:0372798X)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.1-8, 1999-04-30
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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5
アイガモ農法では, アイガモの行動範囲の多少によって除草効果が異なる。ここでは, 雑草防除に関係の深いアイガモの食性と行動について調査するとともにアイガモ放飼による除草効果について調査した。アイガモの食道膨大部を調査した結果, アイガモは雑草の他に昆虫類を摂食していた(Table 2)。この結果アイガモの放飼によって, 除草効果はもちろんのこと害虫に対する防除効果も期待できる。アイガモの行動は, 早朝と薄暮において活発に行動する傾向がみられた(Fig. 1)。また, 放飼されたアイガモは, 水田を縦横無尽に行動することが明らかになった(Fig. 2)。20aの水田に放飼されたアイガモ50羽の内の1個体をマークして調べた行動距離は3.8Km/3:00a.m.-20:00p.m.(17時間)であった(Fig. 1)。アイガモの放飼期間は6月下旬(田植3-4週間後)から8月上旬(出穂時)の40-50日間に及ぶことから、このアイガモの行動距離は, 雑草を制御するに十分な距離と思われた。ミゾソバ, ヤナギタデおよびイヌホタルイが僅かに残ったが実用上問題はなく, アイガモ放飼1週間後からアイガモの引き上げ時(出穂時)まで雑草(藻類を含む)は抑制され, アイガモによる除草効果は極めて大きかった。(Fig. 4, 5, 6, 7)。