著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.174-177, 1998 (Released:2011-03-05)
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.174-177, 1998-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
8
被引用文献数
4 3

慣行栽培とアイガモ栽培(有機農法)により栽培された米の食味について官能試験により調査した.米の食味は, 総合評価ではアイガモ栽培米より慣行栽培米の食味が高いと判断された.その要因として, 慣行栽培米に比べてアイガモ栽培米はタンパク質含量が1%以上高いことが上げられる.しかし, 官能試験を行う前にアイガモ栽培米に関する幾つかの情報をパネルに伝えることによって, アイガモ栽培米の食味評価が若干高まった.言い換えれば, 米の情報を消費者に提供することによって, 消費者の米に対する評価が変化することを示唆していると思われた.
著者
浅野 紘臣 平野 文俊 磯部 勝孝 櫻井 英敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.320-323, 2000-09-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
15
被引用文献数
6 7

前報において, アイガモ栽培では収穫時期を成熟期より10日間程度遅らせることにより, 青米の減少とともに収量が増加すること, また玄米中のタンパク質含有率が減少することにより, 米の食味が向上する可能性を指摘した.ここでは前報で用いた材料のタンパク質およびその組成(グルテリン, アルブミン+グロブリン, プロラミン)とアミロース含有率について調査した.玄米および白米の全タンパク質含有率は, 収穫時期が-10日, ±0日, +10日(早刈り, 成熟期刈り, 遅刈り)と遅くなるに従って品種(キヌヒカリ, コシヒカリ)や栽培法(慣行, アイガモ)を問わず減少する傾向があった.収穫時期の差によって玄米のタンパク質の組成含有率はグルテリンは66.0-67.7%, アルブミン+グロブリンは18.8-20.8%, プロラミンは12.5-14.5%と変動し, 品種や栽培法の別による若干の差は見られたが, 収穫時期によると考えられる差は見られなかった.白米においてもグルテリン, アルブミン+グロブリン, プロラミンの含有率は玄米と同様に収穫時期による一定の傾向は見られなかった.このことからアイガモ農法でも成熟期から10日程度遅刈りしてもタンパク質の組成には大きく影響しないと考えられた.アミロース含有率は品種や栽培法を問わず白米では, 早刈り, 成熟期刈り, 遅刈りの順に減少する傾向が見られた.以上のことから, 前報で報告したアイガモ農法によって生産された米の遅刈りによる食味の向上には, 青米, タンパク質含有率そしてアミロース含有率の減少による影響があったと考えられた.
著者
浅野 紘臣 寺澤 輝雄 広瀬 昌平
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.88-92, 1980

窒素施肥量 (10a当たり0, 10, 50および100kg)がメヒシバおよびスベリヒユの生育と種子生産構造に及ぼす影響を調べた。<br>1) 窒素レベルの増加につれて2草種の生長量は一般に増大するが, 栄養生長期の調査で, スベリヒユは茎長, 葉数, 全乾物重およびがい果数がN-50区で最高値を示し, メヒシバでは稈長および全乾物重だけがN-50区で最高値を示した。<br>2) 一方, 成熟期の調査で, スベリヒユは千粒重を除いたすべての形質がN-50区で最高値を示したが, メヒシバでは穂当たりの種子粒数, 種子重および千粒重がN-10区で最高値を示し, 個体当たり穂数はN-50区に最高値がみられた。<br>3) 多数の形質について表現型可変性変異を調べたが, メヒシバはスベリヒユに比べて一般に大きく, 特に個体当たり穂数および種子粒数で顕著であった。そして, 両草種の千粒重はいずれも低い変異を示した。<br>4) 再生産効率については, 2草種とも窒素レベルの増加に伴い増加する傾向にあるが, メヒシバではN-50区, スベリヒユではN-100区で最高となり, その値は25.3%と28.2%であった。<br>5) 処理区内の個体変動を求めたが, メヒシバではN-0区, スベリヒユではN-0, N-100区で個体変動が増加した。すなわち, 一般の圃場条件とは異なる無窒素と窒素過多の条件下で個体間の反応に差が生じ, 生育が不均一になることが観察された。<br>6) 以上の結果をもとにして, 雑草の環境適応上の問題を考察した。
著者
寺澤 輝雄 浅野 紘臣 広瀬 昌平
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-16, 1980

雑草の環境適応のメカニズムを明らかにする一環として, 本実験ではメヒシバ, スベリヒユを供試し, 密度条件の差異がこれら2草種の生育と種子生産構造に及ぼす影響を調べた。密度条件はa/2,000ワグネルポットにメヒシバで5, 20, 50および100個体, スベリヒユで5, 20, 45および65個体のそれぞれ4条件とした。<br>1) 密度の増加によってスベリヒユは栄養生長期, 成熟期を通して, 10%前後の枯死個体が認められたが, メヒシバでは全く認められなかった。<br>2) 2草種とも, 個体当たりの生長量は密度の増加に伴って減少し, 最高・最低密度間の差異は栄養生長期より成熟期で増大した。<br>3) 種子生産量およびその構成要素のうち個体当たりの穂数 (メヒシバ) あるいははがい果数 (スベリヒユ), 種子重, 種子粒数は密度の増加に伴って減少したが, 1穂あるいは1がい果当たりの種子粒数, 種子重はメヒシバでは20個体区, スベリヒユは5個体区に最高値があった。<br>4) 各形質の表現型可変性の変異を密度に対する回帰係数によって比較したが, スベリヒユがメヒシバに比較して表現型可変性が大であった。<br>5) 2草種の再生産効率を求めたが, メヒシバがスベリヒユに比較して高く, スベリヒユで密度の増加によって減少する傾向が認められた。<br>6) 2草種の生長量について各密度区内の個体変動を調査したが, 密度の増加に従い個体変動は増大する傾向が認められた。<br>7) メヒシバは密度の増加に対し, 区内の個体変動は少なく, 平均的な個体と個体数を確保し, 一方, スベリヒユは個体間の競合によって生き残った個体の再生産力によって, それぞれ単位面積当たりほぼ一定の生産を維持しているのが認められた。
著者
寺澤 輝雄 浅野 紘臣 広瀬 昌平
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.14-18, 1981
被引用文献数
1

メヒシバ, スベリヒユを土壌の最大容水量に対して12, 25, 50, 100%の4条件下で全生育期間を通してa/2,000ポットで栽培し, 土壌水分の差異が両草種の生育と種子生産構造に及ぼす影響を調査した。<br>1) 栄養生長期, 成熟期を通して, 過湿と過乾に対する両草種の反応は異なっており, メヒシバは過乾条件で, スベリヒユは過湿条件で生長がより大きく抑制された。<br>2) 栄養生長期の地上部乾物重で最大生長を示す最適水分条件はメヒシバでは50%区であり, スベリヒユでは25%区であった。<br>3) 両草種の穂あるいはがい果当たりの稔実種子生産量は4処理条件下で, ほぼ一定であり, 土壌水分の変化による個体当たりの種子生産量の差異は個体当たり, 穂数あるいはがい果数の増減によるものであった。<br>4) 土壌水分の差異によるCREの変化は, メヒシバで3~4%の範囲にあり, 一方, スベリヒユでは15~20%であって, スベリヒユはメヒシバに比べCREが高かった。<br>5) 両草種の形質の土壌水分に対する表現型可変性は生長量の形質に関しては, スベリヒユの分枝数を除いて, 一般にメヒシバがスベリヒユに比べて高く, 成熟期の種子生産形質については, メヒシバの穂数を除いて, 一般に, スベリヒユがメヒシバに比べて高かった。<br>6) 最適水分条件下でメヒシバは穂数, スベリヒユはがい果の増加によって個体当たり種子数の拡大生産を確保し, 不適当な条件下でも, 両種は得られた穂あるいはがい果に稔実した種子を確実に着生し, 最低限の生存を確保していることが明らかにされた。
著者
浅野 紘臣
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 2001-03-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

神奈川県愛川町において1994-1996年の3年間にわたってアイガモ農法田と慣行農法田における表層土壌からの雑草の発生数を調査した。発生した雑草はヒエ類, コナギ, アゼナ類, ミゾハコベ, キカシグサ, カヤツリグサ類 (主としてタマガヤツリとコゴメガヤツリ), チョウジタデ, ヒメミソハギ, アブノメ, イヌホタルイ, ダネツケバナ, マツバイ, オモダカ, セリの14草種であった。雑草の発生総数をみると, アイガモ農法では土壌表層0-2cm層では少なく, 慣行農法は0-2cm層で多かった。この理由として, アイガモ農法は, アイガモによる抑草期間が8月上旬 (放飼日数50-70日) に及び除草剤のそれよりも2-3倍長く, アイガモ農法田はアイガモを引き上げた後に発生する雑草が少ないことによると考えられた。土壌表層2-10cm層では, 両農法間で発生総数に差がみられなかった (第2表)。アイガモ農法を連用することによりコナギ, キカシグサなどは減少したが, チョウジタデ, ヒメミソハギおよびカヤツリグサ類は減少しなかった (第2表, 第1, 2図)。1994年と1995年の調査では, 慣行農法に比べてアイガモ農法は発生総数が少なかった。アイガモ農法田は, カヤツリグサ類とアブノメが増加する一方, チョウジタデとヒメミソハギは減少しなかったため, 慣行農法田に比べて発生総数が増加した (第3図)。
著者
寺澤 輝雄 浅野 紘臣 広瀬 昌平
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.14-18, 1981-07-26
被引用文献数
1

メヒシバ,スベリヒユを土壌の最大容水量に対して12,25,50,100%の4条件下で全生育期間を通してa/2,000ポットで栽培し,土壌水分の差異が両草種の生育と種子生産構造に及ぼす影響を調査した。1)栄養生長期,成熟期を通して,過湿と過乾に対する両草種の反応は異なっており,メヒシバは過乾条件で,スベリヒユは過湿条件で生長がより大きく抑制された。2)栄養生長期の地上部乾物重で最大生長を示す最適水分条件はメヒシバでは50%区であり,スベリヒユでは25%区であった。3)両草種の種あるいはがい果当たりの稔実種子生産量は4処理条件下で,ほぼ一定であり,土壌水分の変化による個体当たりの種子生産量の差異は個体当たり,穂数あるいはがい果数の増減によるものであった。4)土壌水分の差異によるCREの変化は,メヒシバで3〜4%の範囲にあり,一方,スベリヒユでは15〜20%であって,スベリヒユはメヒシバに比べCREが高かった。5)両草種の形質の土壌水分に対する表現型可変性は生長量の形質に関しては,スベリヒユの分枝数を除いて,一般にメヒシバがスベリヒユに比べて高く,成熟期の種子生産形質については,メヒシバの穂数を除いて,一般に,スベリヒユがメヒシバに比べて高かった。6)最適水分条件下でメヒシバは穂数,スベリヒユはがい果の増加によって個体当たり種子数の拡大生産を確保し,不適当な条件下でも,両種は得られた種あるいはがい果に稔実した種子を確実に着生し,最低限の生存を確保していることが明らかにされた。
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 兼平 勉
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.19-24, 2001-03-30
被引用文献数
4

アイガモ農法を1-8年継続した水田土壌における雑草の発生量を調査した。出現草種はヒエ類, カヤツリグサ類, コナギ, アゼナ類, アブノメ, キカシグサ, ミゾハコベ, チョウジタデ, ヒメミソハギ, タカサブロウ, ホシクサ, ミズキカシグサ, ヒデリコ, ウリカワの14草種であった。アイガモ農法継続1-8年の平均における発生数はアゼナ類, ミゾハコベ, キカシグサ, カヤツリグサ類およびコナギの順であり, 同農法を継続しても上位5草種に変化はなかった(第1図)。アイガモ農法を1-4年継続した土壌からの全雑草の発生数は, 2,857-401本/m^2であった。継続5-7年は, 1,123-1,608本/m^2であり, 慣行農法田(2,296本/m^2)に比べて継続5-7年では49-70%少なかった(第4図)。このことは適切な栽培管理を行えばアイガモ農法を継続することにより, 雑草の発生は慣行農法に比べて減少する可能性を示唆していると考えられた。
著者
浅野 紘臣 磯部 勝孝 坪木 良雄
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-8, 1999-04-30
参考文献数
9
被引用文献数
5

アイガモ農法では, アイガモの行動範囲の多少によって除草効果が異なる。ここでは, 雑草防除に関係の深いアイガモの食性と行動について調査するとともにアイガモ放飼による除草効果について調査した。アイガモの食道膨大部を調査した結果, アイガモは雑草の他に昆虫類を摂食していた(Table 2)。この結果アイガモの放飼によって, 除草効果はもちろんのこと害虫に対する防除効果も期待できる。アイガモの行動は, 早朝と薄暮において活発に行動する傾向がみられた(Fig. 1)。また, 放飼されたアイガモは, 水田を縦横無尽に行動することが明らかになった(Fig. 2)。20aの水田に放飼されたアイガモ50羽の内の1個体をマークして調べた行動距離は3.8Km/3:00a.m.-20:00p.m.(17時間)であった(Fig. 1)。アイガモの放飼期間は6月下旬(田植3-4週間後)から8月上旬(出穂時)の40-50日間に及ぶことから、このアイガモの行動距離は, 雑草を制御するに十分な距離と思われた。ミゾソバ, ヤナギタデおよびイヌホタルイが僅かに残ったが実用上問題はなく, アイガモ放飼1週間後からアイガモの引き上げ時(出穂時)まで雑草(藻類を含む)は抑制され, アイガモによる除草効果は極めて大きかった。(Fig. 4, 5, 6, 7)。
著者
浅野 紘臣
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 2001-03-30
被引用文献数
4

神奈川県愛川町において1994-1996年の3年間にわたってアイガモ農法田と慣行農法田における表層土壌からの雑草の発生数を調査した。発生した雑草はヒエ類, コナギ, アゼナ類, ミゾハコベ, キカシグサ, カヤツリグサ類(主としてタマガヤツリとコゴメガヤツリ), チョウジタデ, ヒメミソハギ, アブノメ, イヌホタルイ, タネツケバナ, マツバイ, オモダカ, セリの14草種であった。雑草の発生総数をみると, アイガモ農法では土壌表層0-2cm層では少なく, 慣行農法は0-2cm層で多かった。この理由として, アイガモ農法は, アイガモによる抑草期間が8月上旬(放飼日数50-70日)に及び除草剤のそれよりも2-3倍長く, アイガモ農法田はアイガモを引き上げた後に発生する雑草が少ないことによると考えられた。土壌表層2-10cm層では, 両農法間で発生総数に差がみられなかった(第2表)。アイガモ農法を連用することによりコナギ, キカシグサなどは減少したが, チョウジタデ, ヒメミソハギおよびカヤツリグサ類は減少しなかった(第2表, 第1, 2図)。1994年と1995年の調査では, 慣行農法に比べてアイガモ農法は発生総数が少なかった。アイガモ農法田は, カヤツリグサ類とアブノメが増加する一方, チョウジタデとヒメミソハギは減少しなかったため, 慣行農法田に比べて発生総数が増加した(第3図)。