著者
上村 茂仁
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.305-310, 2003
被引用文献数
3

近年,女性の初交年齢の低下やそれに伴う人工妊娠中絶や性感染症の増加が危惧されている.しかしながら親や教師は学生が性の問題で困っているときに相談にのってあげることはなかなか困難である.当院ではメールや掲示板を使っての性知識の普及や相談を行っている.匿名でも相談ができるこれらの方法は,学生が自由に話せる環境を作ることを可能とし,実際ある高校では学校が行ったアンケート調査とメールでの調査で,性行為経験率に大きな差を認めた.当院における学生のメール相談は2000年4月より,ホームページの掲示板相談は2002年10月から開始している.メール相談は2002年9月まで2,023件(462人),掲示板は2003年2月までに799件あった.内容は掲示板がSTD,月経異常,妊娠中絶の順に質問が多いのに対し,メールでの相談はSTD,妊娠中絶,セックスについてと,より秘密的な内容が多かった.初体験前の相談はほとんどメールで行われ,14歳前後の年齢からの相談が一番多く,理由は愛しているとか寂しいからなどが多かった.またそれらの学生は医師側のメールによる説得で性行為を思いとどまった例も多い.メールや掲示板での相談受付は,正しい知識を自由に教えてくれる相談相手かいない学生にとって,有効な手段であり,家族や教師が気づかない初体験前の悩みなども捕まえることが可能であった.ただ24時間に近い体制での対応が必要であり,学生の質問のみから正しい解答を要求されるなどの問題も多くある.

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