著者
山口 光國
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.217-221, 2003
参考文献数
11

肩関節不安定症(instability)とは,あくまでも関節運動に際し,不安感,疼痛,脱臼を伴う病的状態と定義されている。肩関節不安定症は関節の解剖学的,生理学的破綻が基本となるが,肩に限らず身体の関節機能の障害や,日常生活動作の不備が強く関与する。よって肩関節不安定症に対し理学療法は,表出される愁訴を全て解剖学的,生理学的破綻と決め付けることなく,あくまでも機能的な問題の関与を疑い,対応を図る必要がある。また,肩関節不安定症に対する手術療法は,構造上の物理的破綻やそれに伴う生理学的な破綻に対するものだけでも,その対処法は多岐に渡り,さらに機能的,個体的な要因を加味された場合の対処法も異なるなど,病態,関わる因子により選択される方法は異なる。よって,術後の理学療法は,医師の指示をもとに対処された術法の目的を熱知した上で,生理学的な回復過程に準じ,施行されなければならない。さらに,肩不安定性への起因となりうる,身体機能ならびに運動についても術前から調査し,術後の機能回復ならびに予防的対応としての理学療法が施行されることが望ましい。

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肩不安定症に対する理学療法の再考 ✅多方向不安定症は懸垂刺激に対 しての反応が鈍く、健常者では懸垂刺激に伴い,無意識下に筋の活動 が認められるものが,多方向不安定 症では、骨頭のずれを感じても筋 の活動が現れないことが多い https://t.co/CYGllAJ8YU #CiNii

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