著者
植松 光俊 金子 公宥
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.369-376, 1997-11-30
被引用文献数
7

高齢女性の歩行における動力学的特徴を明らかにするため, 健常高齢女性13名(80.7±4.9歳)と健常若年女性6名(35.8±9.0歳)に床反力計と3次元動作分析用カメラシステムを設置した歩行路を自由歩行させ下肢関節のモーメントを算出し分析した。高齢群の関節モーメント(ピーク値)は, 制動期の股伸展と推進期の膝屈曲を除くすべての関節運動において若年群より有意に低かった。歩行速度と有意な相関を示した関節モーメントは, 若年群では接地期の膝屈曲, 単脚支持開始時の膝伸展および両脚支持期中間点の足背屈などの主として制動期のモーメントであったのに対し, 高齢群では蹴り出し期後半の膝伸展と蹴り出し開始時点の足底屈モーメントであった。また, 高齢群については歩幅が足底屈モーメントとのみ有意な相関を示した。これらの結果から, 高齢女性の正常歩行における膝伸展筋と足底屈筋の活動(力強い蹴り出し動作)の重要性が示唆された。

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