- 著者
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矢久保 修嗣
小牧 宏一
- 出版者
- 社団法人日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.3, pp.433-438, 1995-11-20
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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抗コリン作用のある抗不整脈薬のジソピラミドによる口渇に対して我々は白虎加人参湯を投与した。 ジソピラミド徐放錠300mgを投与され口渇の生じた11例に対して, 白虎加人参湯エキス細粒1包2.0gを一日3回食後に迫加投与した。 ロ渇に対する効果判定は投与後12週の自覚症状の改善度を6段階評価し, 副作用などの考慮を加え6段階の有用度についての評価も行った。 また, 同方剤の併用によるジソピラミドの抗不整脈作用についても自覚症状とともに一部の症例では24時間 Holter 心電図により評価を行い, 電解質の変化も一部の症例について検討した。 白虎加人参湯の投与により不整脈の悪化はみられなかった。 同方剤の投与前後の血清Na, K, Clには有意な変化はなかった。 ジソピラミドによる口渇に対する同方剤の臨床効果判定を行った。 著明改善:18.2%, 改善:27.3%, やや改善:18.2%, 不変:18.2%, 悪化はなく, 判定不能:18.2%, 副作用は18.2%にみられた。白虎加人参湯の有用度は, 極めて有用:18.2%, 有用:27.3%, やや有用:18.2%, どちらともいえない:18.2%, 有用でない:0%, 判定不能:18.2%となった。 やや有効以上は63.6%となり, ジソピラミドの口渇に対する同方剤の投与ほ有用と考えられた。