著者
河田 圭司
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学医学雑誌 (ISSN:03858367)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-15, 2003-07-25

中枢性血圧調節にはアミノ酸系神経伝達物質の関与が重要であると考えられているが,高血圧発症への関与には不明な点が多い.本研究では脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットと正常血圧ラットであるWistar-Kyotoラットの脳脊髄液中アミノ酸濃度の加齢による推移を比較することにより,高血圧症発症へのアミノ酸系神経伝達物質の関与について検討した.8週から22週まで隔週齢のラットの血圧測定と脳脊髄液の採取を行った.アミノ酸濃度の定量は電気化学検出器を用いた高速液体クロマトグラフィーで行い,アスパラギン酸,グルタミン酸,γ-アミノ酪酸,グリシン,アルギニン,タウリンの6種について分析した.測定した全週齢で脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットがWistar-Kyotoラットより高値を示したアミノ酸は,グルタミン酸とアルギニンで,グルタミン酸濃度は若齢期においてとくに高値を示し,アルギニン濃度はほぼ一定であった.タウリン濃度は全週齢でWistar-Kyotoラットが脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットより高値であった.γ-アミノ酪酸,グリシン,アスパラギン酸では有意な差を認めなかった.興奮性アミノ酸の週齢変化は遺伝性高血圧の発症過程における中枢性交感神経活動の亢進状態に関与し,抑制性アミノ酸であるγ-アミノ酪酸あるいはタウリンによる抑制効果は大きくないと考えられた.

言及状況

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対象と方法の項目を参照 脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットにおける脳脊髄液中アミノ酸濃度の加齢変化 http://ci.nii.ac.jp/els/contents110004299716.pdf?id=ART0006467862

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