- 著者
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内田 和伸
- 出版者
- 社団法人日本造園学会
- 雑誌
- ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.5, pp.459-464, 1998-03-30
- 被引用文献数
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1
近世城郭・陣屋・要害から社寺に移築され現存する城郭建築遺構(以下,社寺移築遺構と呼ぶ)161件について,その種類や来歴,所有者の保存意識等に関する調査を全国的に行った。その結果,社寺移築遺構の入手方法は社寺による購入だけでなく旧藩主からの寄贈が多く見られ,社寺移築遺構を当該社寺で保存する意向の社寺が多かった。今後の社寺移築遺構の調査では建築構造や意匠だけでなく,来歴や移築された意味,現在の環境,利用状況を評価し,移築を文化として捉える視点が必要になろう。また,社寺での保存のためには登録文化財制度の活用や指定文化財では修理時の補助率の引き上げが望まれる。