著者
"坂本 圭"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.471-484, 2006

"わが国の医療費は,1961年に実施された「国民皆保険」により,高度経済成長と比例して増加してきた.このことが,わが国の医療サービス,医療技術を発展させ,すべての国民が安心して生活できる環境を作り上げる要因のひとつになったと言える.しかし,その一方で国民医療費は,単に,少子高齢化だけでなく,医療保険制度自体が内包する制度的問題点により,高度経済成長終焉後も増加の一途をたどってきた.その間,幾度となく制度改革はなされたものの,医療費増加に対する十分な効果は今のところ得られていない.その背景には,「供給サイドの改革」が不十分であることがあると考える. そこで,本稿では,医療費抑制策を精力的に行った5カ国(ドイツ,フランス,イギリス,スウェーデン,アメリカ)の事例を取り上げ,「需要サイドの改革」「供給サイドの改革」について吟味し,日本の医療費抑制策と比較分析を行った.分析の結果,以下の内容が明らかになった. (1)諸外国では,「供給サイドの改革」を行うことにより,一定の医療費抑制効果が見られた. (2)わが国では,ほとんど「供給サイドの改革」が行われていない結果,効果的な医療費抑制に繋がらなかった."

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