- 著者
-
藤井 俊子
角南 重夫
- 出版者
- 川崎医療福祉大学
- 雑誌
- 川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.2, pp.129-136, 1994
1985年と1990年の性・都道府県別肺がんの標準化死亡比(SMR)と各SMRの調査年より6年前, 11年前の食物要因(一人当たり, 一月当たりの消費量)との関係について調べた.1985,1990年の性・都道府県別肺がんSMRと項目(食物要因)との関係で男女ともに有意の正相関が認められたのは副食費, パン類, 肉類, 乳卵類, 牛肉, 鶏卵, コーヒーの7項目, 女性のSMRと有意の正相関が認められたのは食料費, 主食費, 野菜類, 乾物・海草類, 飲料費, 鶏肉, ハム, ソーセージ, 干しいたけ, 他の乾物・海草の10項目であった.男女ともに有意の負相関が認められたのは学校給費1項目で, 男性のSMRと有意の負相関が認められたのは嗜好食品, 菓子類, 果物類, 緑茶の4項目, 女性のSMRと有意の負相関が認められたのは食塩と清酒の2項目であった.この成績から, 最近のわが国の肺がん死亡率の都道府県別格差と関連のある食物要因は肉類, 乳卵類, 牛肉, 鶏卵, コーヒーなどであることを認めた.