著者
大嶺 哲雄 伊藤 嘉昭
出版者
沖縄大学教養部
雑誌
沖縄大学紀要 = OKINAWA DAIGAKU KIYO (ISSN:03884198)
巻号頁・発行日
no.15, pp.131-159, 1998-03-01
被引用文献数
2

沖縄やんばるの3地域の、スダジイを優占種とする自然林および育成天然林整備(改良)という補助金により下生えを完全に刈り取られた森林のマクロ土壌動物を調査し、得られたデータを多様度指数を用いて解析した。1995年から1997年にかけて行った5回の調査で、ヤスデ綱13種、ムカデ綱23種、コムカデ綱1種が採集された。これらを合わせた多足類は、ダニ、クモ、昆虫を除くマクロ土壌動物相の29-85% (平均47%)を占めていた。このうち琉球列島から初めて記録されたのは次の13種である。ヤマトタマヤスデ、プチダケヤスデ、オビヤスデ属の一種、リュウキュウヤハズヤスデ、ウチカケヤスデの一種、ミドリジムカデ?、ミドリジムカデ属の一種、シゴナガズジムカデ、ケナガトゲアシムカデ、イッスンムカデ属の一種、メナシムカデ属の一種、スコリジムカデ、トゲイシムカデ科の一種。ヤスデ綱とムカデ綱では下刈り区の個体数は自然林にくらべて減少していた。また後者では種数の減少も見られた。自然林の多足類の種多様度指数1-Dは、0.64-0.84、全マクロ土壌動物の指数値は0.72-0.83であった。各回別の計算では自然林と下刈り林の1-Dの値に有意差はみとめられなかったが、全データをまとめて計算したところ、下刈り林における全マクロ土壌動物の指数値は自然林のそれより有意に大きかった(ただし差は小さい)。この結果は同地区の昆虫、アリ、カプリダニにおいて下刈り林で種多様度が低下したという結果と異なる。この原因のひとつは、個体数の多いヤスデに下生え刈り取り区で激減した種があるとも考えられるが、サンプル数が小さいので調査区の地形、場所的条件などの影響も考えられ、今後の調査が必要である。

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