著者
真柄 欽次
出版者
島根県立大学
雑誌
総合政策論叢 (ISSN:13463829)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-9, 2002-03

世界で最も人口密度の高いアジア・太平洋地域には、1995年現在約33億人、つまり世界人口の58%が居住する。この地域の6か国、中国、インド、インドネシア、パキスタン、日本、バングラデッシュは世界で最も人口の多い10か国の中に入る。環境負荷に対する伝統的な考えは人口規模、人口増加率、人口密度に基づくものであったが、人間の消費の大きさも地球や地域のエコシステムに悪影響を与えていることが分かってきた。国ごとの「一人当たり国内総生産(購買力平価)×人口」の比較によると、中国と日本はそれぞれ世界第2位、第3位で、アメリカに次ぐ。もし消費活動が環境破壊の主原因であるとすれば、これら3国の地球生態系保護に対する責任は重い。最近の研究によると、人口増加、貧困、資源枯渇、環境破壊の間にも悪循環の関係があることが判明している。過去数十年間にインド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、スリランカなどの国々でとられた貧困対策は一応の成果を収めたが、地域のみならず地球全体の環境を守るためには、アジア諸国の一層の努力が継続されることが望まれる。

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