- 著者
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宇都宮 睦男
- 出版者
- 福山大学
- 雑誌
- 福山大学人間文化学部紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.1-17, 2001-03-01
大久保彦左衛門忠教の『三河物語』には、初稿本系統の蓬左文庫本と自筆本などがある。この二本を比較すると、用語と表記に大きな相違がみられる。特に表記では、自筆本に宛字、誤字などが多く、蓬左文庫本が後人による転写であるにしても、その余りの違いに驚かされる。忠教の無学故に、このような宛字・誤字がみられるのであろうか。このことを検証するために、自筆本から七年後に成った、忠教自筆の「釈教和歌釈義」の用語・表記を調べてみた。結果は、むしろ蓬左文庫本の用記・表記に近い。このことからすると、自筆本の宛字・誤字が忠教の無学故とは一概に言えないように思われる。