- 著者
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森 道子
- 出版者
- 大手前大学・大手前短期大学
- 雑誌
- 大手前大学人文科学部論集 (ISSN:13462105)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.A93-A107, 2003
Where Angels Fear to Tread と『雪国』とは、海外旅行と国内旅行という違いはあるが、ともに鉄道による旅行小説である。特に注目したいのは両者におけるトンネルの効果的な活用である。旅人である主人公に密着した三人称の語り手が故郷と正反対の、ユートピア性をもつ旅先の土地での事件と徒労を描写する。タイトルに暗示されるように登場人物の間に浄化作用が、宗教的かつ神話的に働くことや、異郷の情景描写など具体的な旅行の魅力を存分に備えながら、旅先で起きる死によって旅とは人生であり、その行く先は死であるのを象徴することなどの共通点を探り、二作品を比較対照した。