著者
末永 芳子 嶋松 陽子 本田 千浪
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-58, 2005-03-15
被引用文献数
1

母親が過去の出産体験をどのように受け止めているのかについて聞き取り,その体験から現在の心理状態を「改訂出来事インパクト尺度IES-R(lmpact of Event Scale-Re vised)」を用いて検討したものである。対象は出産後2~3年経過し,調査時点で子どもが一人いるが,妊娠していない母親3名である。半構造化面接法によるインタビューを行い,その内容から出産体験に関する要因を抽出した。その結果,母親は出産後2~3年経過しても出産体験を鮮明に記憶しており,中でも否定的な体験が残っている傾向がみられた。否定的な体験をした母親の心理状態を. TES-Rの結果からみると,心的外傷後ストレス障害PTSD (post-traumatic stress disorder)の高危険者はいなかった。これらのことから,辛い妊娠・分娩の体験は2~3年経過しても母親に心理的な影響を及ぼしていると考えられ,次子出産の意思決定に影響する要因の一つになり得ると推測された。

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