著者
小薗 真知子
出版者
熊本保健科学大学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2012-03-31
著者
向井 良人
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-62, 2012-03-31

戦争,公害,災害など,暴力的な出来事を「なかったこと」にしないためには,その体験者の記憶が語られなくてはならない。そこで体験者は〈語り部〉となる。また,災厄の痕跡は博物館や資料館に保存され展示される。あるいは災厄の現場自体が巡礼地となる。語りは痕跡に文脈を与え,痕跡は語りを媒介する。こうして,体験者の語りと物理的な痕跡によって出来事の記憶は聞き手の前に可視化される。そのストーリーは,語り手と聞き手の出会いの産物である。ただし,想像を絶するほど凄惨な出来事は,体験者にとって語ることのできないものでもある。他方,聞き手が期待しているのは,悲劇の再演やモデル・ストーリーの補完かもしれない。それゆえ,出来事は聞き手の日常を脅かすことのない,一過性のものとなりがちである。語り手が発するメッセージは,聞き手による共感も解説も受け付けないものであるかもしれないが,両者が出会う意義は,まさにそうした断絶を可視化することにある。
著者
小薗 真知子
出版者
熊本保健科学大学
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-6, 2012-03-31
著者
池嵜 寛人 兒玉 成博 畑添 涼
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
熊本保健科学大学研究誌 (ISSN:24335002)
巻号頁・発行日
no.18, pp.11-22, 2021-03

【はじめに】言語聴覚士養成課程の学生が臨床実習で経験する検査の実態を明らかにすることを目的として,本専攻の臨床実習で用いているチェックリストの分析を行った。【方法】評価実習(3週間)と総合実習(8週間)を履修した学生91名を対象とした。実習を通して「見学」,「模倣前期」,「模倣後期」,「実施」のいずれかに記載がある学生は見学以上の経験あり,記載がない学生は未経験として,見学以上の経験ありの割合を算出した。【結果】評価実習および総合実習ともに,半数以上の学生が簡易知能検査,言語評価,構音評価,嚥下評価の主要な検査を経験していた。標準失語症検査に関する学生の経験状況は,総合実習の方が評価実習に比べて,「模倣前期」の割合が少ない傾向を認めた。頸部聴診では,総合実習の方が評価実習に比べて,「実施」の割合が多い傾向を認めた。【考察】学生が臨床実習で経験している現状をふまえ,学内教育のカリキュラムを検討することも必要であると考える。
著者
多久島 寛孝 山田 照子 林 智子
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-62, 2004-03-15
被引用文献数
1

「お待ちください」という言葉に対する患者・家族,看護師の意識を明らかにすることを目的に,口頭および文書で同意の得られた患者・家族100名および看護師46名に調査を行った。患者・家族には面接による聞き取り調査を,看護師には自記式調査用紙を用いて調査を行った。分析は,患者・家族が「お待ちください」と言われ待てると返答した時間および看護師が「お待ちください」と考える時間については有意差検定を行い,その他の項目については質的に分析した。その結果,1.患者・家族が「お待ちください」と言われ待てる時間は平均12.98分,看護師が「お待ちください」と考える時間は平均4.27分であり有意差があった。2.患者・家族は「お待ちください」と言われ思ったことは,【普通のこと】【すぐに対応してもらえない不満】であった。3.患者・家族は「お待ちください」と言われ不安に思ったことは,【行き場のない怒り】【見通しのつかなさ】【一方的な関係】であった。4.「お待ちください」の後に看護師に望む対応は,【安心感を得たい】【見通し】【信頼を望む】であった。5.待たせる場面での看護師の声かけの仕方は,【見通しのつかない示唆】【見通しのつく示唆】であった。6.看護師は,「お待ちください」をどう思って使用しているかは,【信頼の提供につながる支援】【罪悪感】であった。7.「お待ちください」を患者・家族がどう感じていると思うかは,【不信感への変化】【答えの出ない待ち時間】【我慢の強要】【裏切り】であった。
著者
行平 崇 田中 哲子 土井 篤 小牧 龍二 福永 貴之 申 敏哲
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
熊本保健科学大学研究誌 = Journal of Kumamoto Health Science University (ISSN:24335002)
巻号頁・発行日
no.16, pp.39-47, 2019-03

一般の食酢に比べタンパク質を構成するアミノ酸の他にクエン酸やコハク酸,有機酸やビタミン,ミネラル,メラノイジン等が多く含まれている黒酢の様々な効果が報告されている中で,学習及び記憶力に及ぼす影響に対しては,未だ明らかになっていない。そこで本実験では,黒酢とDHA の摂取がラット学習・記憶力に及ぼす影響について行動学的及び免疫組織学的手法を用いて検討した。その結果,8方向放射状迷路試験において,黒酢,DHA の単独投与では所要時間の有意な短縮は認められなかったものの,黒酢とDHA の同時投与群では有意な短縮が認められた。Working memory error(WME)では,DHA 単独投与群と黒酢とDHA 同時投与群で有意なWME の減少が認められた。Step-down 試験においても,黒酢とDHA 同時投与群で有意な潜伏期の増加が認められた。また,神経細胞の活性と細胞の増殖を確認するために行ったc-Fos とBrdU の免疫染色でも,黒酢とDHA の同時投与群では陽性細胞の有意な増加が認められた。本研究の結果,黒酢の継続的な摂取はDHA と同様に記憶力の中心である海馬を刺激し,細胞新生を促進する事で記憶力の増強に影響を与える可能性が示唆された。また,黒酢又はDHA の単独摂取と比較して,双方を同時に摂取することで相乗効果を得ることができた。今後更なる濃度と実験期間の検討により,黒酢とDHA の効果を明確にすることで,認知症の改善や脳発達障害の改善に応用でき,患者のQOL の向上に繋がっていく可能性が考えられる。
著者
松田 純一 上仲 一義 野崎 周英
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
熊本保健科学大学研究誌 = Journal of Kumamoto Health Science University (ISSN:24335002)
巻号頁・発行日
no.15, pp.19-26, 2018-03

アルツハイマー病克服のアプローチの一つとして,アミロイドβをターゲットとしたワクチン開発が進められている。過去,全長のアミロイドβペプチドにサポニンをアジュバントとして加えたワクチンの臨床試験が行われたが,細胞性免疫によると考えられる髄膜脳炎が出現し,中止となった。その原因は全長のアミロイドβペプチド内のT細胞エピトープ,アジュバントにあったと考えられている。従って有効で安全なアミロイドβペプチドアジュバントの組み合わせの開発が望まれている。これまでに我々は細胞性免疫を誘導する可能性がある配列を除いた改変アミロイドβペプチドにシステインを付加することで高い抗体産生能を示すことを見出し報告した。今回,脂質異常治療薬のシステイン付加アミロイドβペプチドワクチンに対するアジュバント効果を検討した。脂質異常治療薬はスタチン類,小腸コレステロールトランスポーター阻害剤,フィブラート類およびビグアナイド系薬剤を用いた。その結果,いずれにおいてもシステイン付加アミロイドβペプチドワクチンに対するアジュバント効果が認められ,特にロバスタチン,イコサベント酸エチル,ベザフィブラートはAlum アジュバントと比較しても高いアジュバント効果を示した。以上の結果から,脂質異常治療薬は高い抗体産生誘導能を示すことが判った。アルツハイマー病ワクチン開発において脂質異常治療薬は有望なアジュバント候補の一つになり得ると考えられる。
著者
横山 孝子 大澤 早苗 嶋井 久美子 高水 佳寿美
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
no.2, pp.59-68, 2005-03-15

看護教育における臨地実習は,複雑な看護場面の中での経験を学習者自らが意味づけしていくという学習形態をとり,その意味づけをどのようにしていくかが学生の成長に大きく関わっている。今回,「主体的な学習姿勢への変化」を指導目標に設定し,臨地実習に臨んだ一学生の学習過程より"経験の意味づけを抽出し自己効力の影響因子の視座から分析した。その結果,学生の経験の意味づけの深まりと共に学生の自己効力は促進,維持されていた。そのことで学生は,1)不安から安心状態へと変化し,2)それを機に受動的から能動的姿勢へと変化して,3)自分自身と向き合うという自己の対象化ができ,4)更に意識的に自己の課題に取り組み,その達成に向かうという,4段階のステップを踏み自己の成長に繋がっていた。そのような学習過程の基盤になっていたのは,実習環境からの「肯定的な関わり」が有用であったと考えられる。
著者
末永 芳子 嶋松 陽子 本田 千浪
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-58, 2005-03-15
被引用文献数
1

母親が過去の出産体験をどのように受け止めているのかについて聞き取り,その体験から現在の心理状態を「改訂出来事インパクト尺度IES-R(lmpact of Event Scale-Re vised)」を用いて検討したものである。対象は出産後2~3年経過し,調査時点で子どもが一人いるが,妊娠していない母親3名である。半構造化面接法によるインタビューを行い,その内容から出産体験に関する要因を抽出した。その結果,母親は出産後2~3年経過しても出産体験を鮮明に記憶しており,中でも否定的な体験が残っている傾向がみられた。否定的な体験をした母親の心理状態を. TES-Rの結果からみると,心的外傷後ストレス障害PTSD (post-traumatic stress disorder)の高危険者はいなかった。これらのことから,辛い妊娠・分娩の体験は2~3年経過しても母親に心理的な影響を及ぼしていると考えられ,次子出産の意思決定に影響する要因の一つになり得ると推測された。
著者
角 マリ子 多久島 寛孝
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
熊本保健科学大学研究誌 = Journal of Kumamoto Health Science University (ISSN:24335002)
巻号頁・発行日
no.15, pp.109-120, 2018-03

本研究は,認知症カフェおよびサロンについて報告されている13件の文献を概観し,研究の動向,取り組みの実態と効果を整理して,今後の研究の方向性,認知症者およびその家族への支援についての示唆を得ることを目的とした。 その結果,以下の結論を得た。1.認知症カフェおよび認知症者に関連するサロンの開設の要素を明らかにすると,認知症者やその家族にどのような影響を及ぼすのか検証することができる。2.認知症カフェの効果については,家族の心情の吐露や家族の人生の回顧等,サロンの効果については,参加者の楽しみの増加や参加者の対人交流の増加等を参加者への効果から明らかにすれば,認知症カフェおよび認知症者に関連するサロンに繋がる継続要因を明らかにすることができ,認知症者とその家族が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けていくための支援の方策に繋げることができる。
著者
向井 良人
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.49-62, 2012-03-31
著者
多久島 寛孝 山口 裕子 水主 いづみ
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.7-16, 2005-03-15

老人保健施設の痴呆性専門療養棟において,ケア・スタッフが痴呆性高齢者の訴えや行動に対応した場面を,参加観察法で収集した。収集した場面を質的に分析し,ケア・スタッフのケア提供へ影響しているものについて検討した。その結果,以下の点が明らかになった。1.ケア提供へ影響するものとして,【痴呆性高齢者の日常生活支援のあり方】【痴呆性高齢者の思いとのすれ違い】【否定的感情の表面化】の3つのコアカテゴリーが抽出された。2.【痴呆性高齢者の日常生活支援のあり方】には,〔基盤となる姿勢〕〔創造的な支援〕の2つのカテゴリーが抽出され,〔基盤となる姿勢〕には,『入所高齢者への気遣い』『信頼を壊さない』『安全の保障』『入所高齢者の感情への寄り添い』の4つのサブカテゴリーが含まれ,〔創造的な支援〕には,『探索』『入所高齢者の力を生かす』の2つのサブカテゴリーが含まれた。3.【痴呆性高齢者の思いとのすれ違い】には,〔個人的体験の優位さ〕〔個人の意識の差〕〔その場をしのぐ〕の3つのカテゴリーが抽出され,〔個人的体験の優位さ〕には,『体験的ルーティン化』『強引さ』の2つのサブカテゴリーが含まれ,〔個人の意識の差〕には,『優先順位』『見過ごし』『無意識』の3つのサブカテゴリーが,〔その場をしのぐ〕には,『説得』『関心を寄せない』の2つのサブカテゴリーが含まれた。4.【否定的感情の表面化】には,〔混乱〕の1つのカテゴリーが抽出され,〔混乱〕には,『困難感』『答えが出ない』『引きずられ』の3つのサブカテゴリーが含まれた。