著者
小田 尚子 田中 雅子 別府 道子
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
no.22, pp.p41-44, 1982-12
被引用文献数
1

l-ペリラアルデヒドの抗菌性を,細菌5種類,糸状菌3種類を用いて,食塩との関係で検討し,更に,細菌についてはpHとの関係も併せて検討したところ,結果は以下のよぅであった。細菌においては(1)各菌におけるl-ペリラアルデヒドの生育阻害を最小生育阻止濃度で求めたところ,1600-1700ppmから3000ppm以上であった。(2)食塩とl-ペリラアルデヒドを同時に使用した場合は,併用効果がみられた。しかし,菌種によってその効果の程度に違いがみられ,S. aureusでは,効果は少なかったが,P. ovalisと,K. pneumoniaeでは顕著な効果がみられた。(3)l-ペリラアルデヒドの生育阻害作用は,水素イオン濃度の高い条件(pH5)では,より効果的になった。(4)いずれの条件でも,生育を阻害するためには,高濃度のl-ペリラアルデヒドが必要であり,実用性は期待出来ないように思われた。糸状菌においては(1)l-ペリラアルデヒドは,750ppmの濃度において,5〜7日の培養期間中,各菌の生育をほぼ完全に阻止した。(2)食塩との併用は,相剰的な効果があったが,耐塩性のP. chrysogenumにおいて,より顕著に現われた。(3)200ppm以下のl-ペリラアルデヒド濃度においても生育の阻害がみられたことと,(2)から,ある程度の実用性が期待出来るものと思われた。

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