著者
栗原 伸一 霜浦 森平
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-57, 2005-03-31
被引用文献数
1

少子高齢化が進む一方,長引く景気低迷から新たな税源確保も難しい我が国において,財政をいかに効率良く支出するかという「資源の最適分配」はもっとも重要な問題の一つである.そこで本研究は,地域住民を対象とした意識調査を行い,財政構造に関する意識や要因を都市・農村などの地域間比較を中心に整理・考察した.その結果,以下のようなことが明らかになった.(1) 現在行われている公共事業や社会保障に対して,地域住民の大半が「(やや)不満」に感じていた.(2) 公共事業費については,効率化による予算削減を望む者が多かったが,地方部では集落排水などの農村整備に対する選好も比較的高かった.(3) 社会保障費に関しては,農村を筆頭に多くの者が「増額」を望んでいたが,赤字公債発行によるこれまでの景気刺激型財政支出に対する嫌気と相まって,相対句なウェイトは小さかった.また老後等に備えての貯蓄額は平均5万円/月程度であった.(4) 予算支出の総額を抑えた再建型財政に対する選好が高かった.こうした分析の結果は最近の世論とも整合的であり,また都市農村で比較した場合,農村部では公共投資に関して寛大であり,社会保障費の希望増額が都市部よりも若干大きいことが分かった.こうした地域住民の選好を土台にして,財政決定を計画すれば納税者の効用度も向上し,納税者のコンセンサス獲得へとつながると考えられる.

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こんな論文どうですか? 財政構造に関する住民意識の都市農村比較,2005 http://ci.nii.ac.jp/naid/110004631823 少子高齢化

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