著者
林 健太郎 駒田 充生 宮田 明
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.78-90, 2006-03-10
被引用文献数
7

茨城県つくば市のシバ草地において,2004年8月14日〜2005年2月28日のアンモニア性窒素(NH_x;アンモニア:NH_3とアンモニウム塩粒子:NH_4^+粒子)の乾性沈着を調べた。フィルターパック法によりNH_xの大気濃度を観測し,インファレンシャル法によりNH_xの沈着速度を推計した。NH_3の沈着速度の推計では,気孔からのNH_3揮散および地表のぬれの効果を考慮した。大気濃度および沈着速度の積を乾性沈着量とした。期間全体の平均として, NH_3およびNH_4^+粒子の大気濃度は150および89μmol m^<-3>,沈着速度は0.66および0.061cm s^<-1>,乾性沈着量は80および4μmol m^<-2>d^<-1>であった。大気濃度は田園地域の代表的なものと考えられ,沈着速度は既往研究の下限付近であった。期間全体の平均として,気孔からのNH_3揮散は沈着速度に対して0.013cm s^<-1>(2.0%)の減少効果,地表のぬれは0.042cm s^<-1>(6.4%)の増加効果を示した。年間値に換算したNH_xの乾性沈着量はわが国のNH_4^+の湿性沈着量と同程度であり,NH_xの大気沈着において乾性沈着が重要な寄与をなすことが示された。さらに,自然草地や森林など,調査地よりも粗度が大きな植生では沈着速度がさらに増加するため,これらの植生ではNH_xの乾性沈着の寄与はより大きいと推定される。

言及状況

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こんな論文どうですか? インファレンシャル法によるアンモニア性窒素の乾性沈着量の推計 : 気孔からのアンモニア揮散および地表のぬれの沈着速度への影響(林健太郎ほか),2006 http://id.CiNii.jp/ThdvL

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