- 著者
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西田 正憲
- 出版者
- 社団法人日本造園学会
- 雑誌
- 造園雑誌 (ISSN:03877248)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.5, pp.91-96, 1994-03-31
- 被引用文献数
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瀬戸内海国立公園には明治大正時代に築かれた近代の要塞が数ケ所に渡って残っている。紀淡海峡,芸予諸島,広島湾口,関門海峡,豊予海峡と国立公園の優れた風景地に,同じような構造をもつ堅牢な砲台跡や煉瓦造りの兵舎跡を見ることができる。要塞遺跡はそれ自体自然と一体となった明治の洋風建築として情趣あるものであるが,さらに一帯は,瀬戸内海の典型的な瀬戸景観などを眺める優れた展望地として,国立公園の重要な利用拠点になっている。瀬戸内海国立公園の近代要塞遺跡とはそもそも何かその概要を体系的に明らかにするとともに,この要塞跡地が瀬戸内海国立公園の利用拠点をいかに形成してきたかその経緯を明らかにするものである。