著者
島 正之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.1-9, 2005-02-01
参考文献数
41

わが国では硫黄酸化物による大気汚染は改善されたが,自動車交通量の増加に伴い,二酸化窒素や浮遊粒子状物質による大気汚染が問題となっている。とりわけ交通量の多い大都市部の幹線道路沿道部における大気汚染物質の濃度は高く,住民の健康に及ぼす影響が憂慮されている。われわれが千葉県で行った疫学研究では,学童の気管支喘息症状の有症率及び発症率は幹線道路沿道部において高かった。アレルギー等の多くの関連要因の影響を調整しても沿道部における喘息の発症率は統計学的に有意に高く,大気汚染が学童の喘息症状の発症に関与することが示唆された。近年,欧米諸国においても道路に近いほど呼吸器疾患患者が多いこと,大気汚染物質が喘息や気管支炎症状を増悪させることが数多く報告されている。幹線道路の沿道部に多くの人々が居住しているわが国にとって,自動車排出ガスによる大気汚染への対策は早急に取り組むべき喫緊の課題であり,自動車排出ガスと健康影響との因果関係を解明するために大規模な疫学研究を実施することが必要である。

言及状況

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光化学スモッグは100ppb(0.1ppm)は症状がでる可能性がある値らしい。実際に届け出のあった被害者数の推移はhttp://t.co/JT7uYxvPQg。光化学スモッグに限らず、排ガスと喘息の関連も国内外で疫学情報が出始めている。http://t.co/ieU9v9Aeig

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