- 著者
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山内 春光
- 出版者
- 群馬大学
- 雑誌
- 群馬大学社会情報学部研究論集 (ISSN:13468812)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, pp.107-127, 2004-03-31
瀬石『こころ』のKはなぜ自殺したのかという問題は、以前の拙稿(1999年)で、他のいくつかの問いと共にとりあげたことがあったが、そこでの議論は不十分であった。本稿はこの問題を、日本倫理思想史の全体にてらして再考する。Kは真宗の教義としての阿弥陀崇拝に、殉ずる形で死んだのではなかったろうか。それは、まさに彼の生家の宗旨として信仰され続けていたものでもあった。